【分科会報告書】視覚障がいとヨガ勉強会
日時: 2017年7月9日(日) 13:30 〜 16:30
テーマ: 知ること、感じること、考えること、そして伝えること
<第一部>
視覚障がいを知ろう 〜「見えにくい」ってどういうこと?
講師:いけがみ眼科整形外科 眼科 澤崎弘美先生
「視覚障がい」についてのイメージについて話し合ったあとに、基礎知識をご教授頂いた。
その中でも様々な見えにくさの中で代表的な「視力低下」「視野狭窄」「中心暗点」の3点について、実習用眼鏡を使用して、フォントの違う文書や白黒反転の文書を見たり、文字を書いたり歩いたりして体験を行った。
<第二部>
視覚障がいの方をガイドするには? 〜感じてみよう〜
講師:神奈川ライトセンター 歩行訓練士・社会福祉士 内田まり子先生
視覚障がいの方をガイドする際のポイントと気をつける点について、ご教授頂いた。
その後2人組になり実際に歩行・階段昇降などを行い、ガイドする側・ガイドされる側を体験した。
<第三部>
チャレンジド・ヨガ 〜視覚障害の方のヨガとは〜
講師:国立障害者リハビリテーションセンター
資格訓練講師・社会福祉士・ヨガインストラクター 高平千世先生
視覚障がいの方のヨガクラス「チャレンジド・ヨガ」についてのご説明を頂いた。
・活動目的 ①視覚障がいの方へ定期的・継続的に体を動かす機械の提供
②障がい者=チャレンジドが社会・自分のために本来の力をいかせる機会の提供
③ヨガの本来の意味=繋がる(Yuj)地域コミュニティの創出
④ヨガを通じて社会の障がいに対する意識・認識を変化させ気づきを促進する活動
(共に生きる社会を目指す)
・6つの特徴 ①ゆっくり・安全に・そして楽しく、をモットーに3STEP方式でポーズを理解
②わかりやすい言葉と声が聞き取りやすい環境
③弱視の方に見やすい環境
④障がい者向けでなく世界共通のヨガポーズ
(個人の体の状態にあわせたり、反復練習するなどの工夫)
⑤サポーターの誘導・動作支援
⑥希望者への会場までの最寄り駅からの送迎
ヨガ実践者として視覚障害当事者からのお話を伺った。
「一般のヨガクラスに申し込んでも、「安全上」「講師への負担」「他の参加者への負担」という理由で断られることが多い中で(特に後者2点の理由は自分が迷惑をかける存在と認識させ、自身の努力ではどうにもできないものであった)、チャレンジドヨガの存在を知ったときは一筋の光を見いだしたようであった。」
アイマスクを着用し、誘導によりヨガ実技を行った。
声かけなくアシスト・アジャストされる体験を行い、感想をシェアした。
文責:松原
がんコミュニティのためのヨガ at SYTAR 2017
世界最大のヨガセラピーカンファレンスSYTAR2017、今年もロサンゼルスニューポートビーチで始まりました。
初日は毎回、CICと呼ばれる、Common Interest Community から始まります。
6つのセッションについてはこちらをご覧ください。
https://yoga-medical.org/course/1411/
その中の-がんコミュニティのためのヨガ:「実践者の集い」について、内容を一部ご紹介いたします。
需要に導かれ、北米のみならず、全世界中で、がんとヨガに特化したヨガセラピストたちが活躍を始めています。
プロフェッショナルとしての活動を開始したヨガセラピスト達は、ヨガセラピーという古くて新しい、そして優しい手法を、既存の治療を支援するという意味合いで応用することができることでしょう。
それに伴い、IAYTは、これらの新しい治療支援モデルに根拠を与える研究を随時アップデートし、変化の激しい医療業界において、市民の健康と幸福に関する方法論として確立していくことを目指していきます。
今回のカンファレンスにおいて、様々なヨガセラピスト達の実績や、経験を全世界からの参加者と共有し、必要とされるテクニック、安全のためのスキル、そしてがんとヨガという領域における共通認識をさらに発展させていく、それが今回のCIC( コモンインレストコミュニティ:Common Interest Community)の目的です。
私たちはこのCICを通じ、お互いに閃きや発見、そしてがんという深刻なテーマにおける思慮を、国境を越えて共有し、これから私たちが社会に提案していけるテーマや問題点を議論できる、専門性の高い貴重な機会です。
ヨガの語源は、つながる、結ぶ。
がんという人類が避けられない疾病に対し、考えられうる最善の未来への知恵皆で提案しあい、各国の事情において実現可能なプロジェクトとして取り組んで消える土壌として、本コミュニティは開催されます。
【演題】
Lara Benusis, MA, C-IAYT, E-RYT 500
がんと診断された方の運動神経刺激の低下にヨガができることSharon Holly, C-IAYT, YTRx-800c
がんサバイバーへのセラピーを通じた気づきLee Majewski, MA, C-IAYT
ヨガセラピーが、がん治療後のケアに貢献できる可能性についてErin Meyer, PhD, E-RYT, YACEP
地域に根ざしたヨガセラピー(対象:がんサバイバーとその家族)による持続可能な革新的なモデルSimone Palmieri, RYT 500, C-IAYT
あなたのサバイバーが記憶障害を抱えた時:どうやって記しそれを記録するかMichelle Smith, MS Yoga Therapy, C-IAYT, E-RYT
がんのホスピスにおけるヨガセラピー
(CICシラバスより:翻訳:岡部)
ヨガセラピストの本棚:メディカルヨガ ヨガの処方箋(バベルプレス)
昨今よく耳にする「健康寿命」というこの言葉。平均寿命が延びつつある現在、注目されるは「いつまで健康上に問題のない状態で日常生活を送ることができるのか」という意味の「健康寿命」です。
H29年より「セルフメディケーション税制」も導入され、政府は自主的な健康の維持増進及び疾病の予防への取り組みを推奨しています。
ヨガなどの適度な運動が、健康促進に良いということはすでに常識となっています。
一家に1冊は医学書があったように、「ヨガの処方箋」なる本が手元にあればどんなに心強いでしょう。
「Yoga Journal」米国版の医療編集者を務め、ヨガ・インス トラクターであり、また内科専門医でもあるティモシー・マッコール氏は、癌や糖尿病、うつ病など、 現代人を悩ます20の症例へのヨガの講師陣20名による、症状改善のための実用書「YOGA AS MEDICINE」を作りました。
そして、その日本語訳版が「メディカルヨガ ヨガの処方箋」です。
健康美、肉体的鍛錬、精神性を謳うヨガから一歩引いた、ただただ健やかに暮らしたいという一般的な人々のための実用書となっています。
当てはまる症例のページを開けば、専門的、医学的観点からのワンポイントアドバイスや科学的根拠、そして禁忌についても詳しく記されており、ポーズは写真と共に解りやすく説明されています。
「病気の人も、衰弱した人も、老いも若きも、たとえかなりの高齢者でも、地道にヨガを続ければ、確実に効果は現れるでしょう。」
~ハタ・ヨガ・プラディーピカ~に書かれたスヴァトマラーマの言葉で第一章が始まるこの本。
ヨガはインスタントなメソッドではなく、継続することでゆっくり長く効く薬だということを伝えてくれています。頓服薬ではなく、内服薬のようにこの処方箋を、長くお使いいただくことを願います。
【 症例別ヨガの処方箋 掲載内容 】
1. 不安とパニック症候群
2. 関節炎
3. 喘息
4. 背中の痛み
5. 癌
6. 手根管症候群
7. 慢性疲労症候群
8. 鬱
9. 糖尿病
10.繊維筋痛症
11.頭痛
12.心疾患
13.高血圧
14.先天性遺伝症候群
15.不妊症
16.不眠症
17.過敏性腸症候群
18.更年期障害
19.神経多発性硬化症
20.肥満
※監修は当協会代表理事の岡部朋子です。
文責:石井及子
マインドフルネスを知ろう:川野泰周先生
慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)・夕学五十講のリレーブログより、協会メディカルサポーターの川野泰周先生の講義でのマインドフルネスについてのお話がとてもわかりやすくまとめられています。
「失敗や欠点に気づいた時、生じた心の苦しみ以上に人は失敗そのものに注目して、自分を責めたり苦しんでしまいがちだが、「今感じている苦しみに気づく」ことこそが自分への慈しみの念を持つきっかけになるという点だ。」
マインドフルネスについて、理解を深めたいと思っている方、ぜひご一読をお勧めいたします。
協会では、川野先生を講師にお迎えし、マインドフルネス講座を開催いたします。(日程はこちら)
薬局におけるヨガの可能性を探る
協会では「薬局でのヨガ」分科会のメンバーの募集を開始します。
つくば市のあけぼの薬局で、乳がんの患者さんを対象としたヨガクラスが始まりました。
http://ameblo.jp/mitsuyogamito/entry-12276089246.html
また、薬剤師さんによるヨガクラスの事例なども、勉強会で今後学んでいきます。
関心をお持ちの皆さまのご参加をお待ち申し上げております。