協会レポート&ニュース

HOME / 協会レポート&ニュース / 北野克宣 医師からのメッセージ

北野克宣 医師からのメッセージ

2023年07月20日 | 協会報告

YMSJメディカルサポーターにご就任くださいました 医療法人 菅井内科 抗加齢・生活習慣病センター長の 北野 克宣 先生よりメッセージをいただきました。

北野先生は奥様と共に当協会の認定ヨガセラピスト ベーシックコースを修了、さらにスペシャライズドコースも修了され、YMSJ認定マインドフルネスヨガセラピストの第1号となられました。
愛媛県松山市の菅井内科にて、ご夫婦二人三脚で考案したヨガセラピープログラムを取り入れた地域医療、健康促進事業に取り組まれています。私たちの身近にも、このような医療機関があるとどんなに安心できるでしょう。

以下、北野先生からのメッセージです。

【日本ヨガメディカル協会 メディカルサポーター就任に寄せて】

我が国の平均寿命は世界一ですが、健康寿命との間に男性で8.96年、女性で12.37年の乖離があり(WHO,2022)、健康寿命の延伸(アンチエイジング*)が望まれます。足下では世界に先駆けて少子高齢化が進む中、生産年齢人口(15〜64歳)の急激な減少が社会保障制度の維持を脅かしています。加えて現代は不安定・不確実・複雑・曖昧なV U C A世界と称され、めまぐるしく変化する環境に適応していくストレスにさられています。これら喫緊の課題に対し定年の延長や廃止、学び直し支援、健康経営の推進、過重労働対策やメンタルヘルスケアなどの取り組みが始まっていますが、2040年には人口の35%が65歳以上となる超超超高齢社会に突入するため、健康寿命の延伸(アンチエイジング)が大前提です。

もちろん、健康とはそのような社会的意義だけではありません。WHOは健康を、”単に病がないとか虚弱がないということではなく、肉体的、精神的、社会的に全てが満たされた状態(Well-Being)である”と定義しています(WHO憲章,1946)。私たちは自分を取り巻く環境や人間関係およびそれらに対する認知に基づき、感情や行動を(意識・無意識を問わず)選択しながら生活しています。つまり”全人的な健康**(Well-Being)”は、肉体面だけでなく、精神面(知・情・意)、社会面(他者・環境)というすべての構成要素の乱れを調え満たしていくことで初めて成り立つと言えます。

ヨガは補完代替医療における臨床マインドフルネスの代表であり、アメリカ国立補完統合衛生センターから4領域21のアウトカムに効果があると公表されています(NCCIH,2020,pp.17-23)***。Well-Beingと健康の向上(ストレスマネジメント、健康習慣、ポジティブな精神健康など)、痛みの緩和(線維筋痛症、頭痛、腰痛、関節痛など)、慢性疾患(がん、COPD、喘息など)、その他の疾患(うつ病と不安障害、心血管疾患、2型糖尿病、睡眠障害、更年期障害など)です。マインドフルネス実践の継続でレジリエンス(認知の正確性と柔軟性)が高まり、ストレス反応が緩和することで最適な健康行動が可能になります。

ワークエンゲージメント****を高める活動の一環として産業医先でヨガセラピーの実践に取り組むことで、心理的安全性(チームレジリエンス)の向上と個々人のストレス要因(心理社会的ストレッサー)の軽減を目指しています。目下の課題は、ヨガに関心がない方や、職場の隙間時間にやりたいが周囲の目が気になるといった方々にも実践して頂けるプログラムの開発です。協会のヨガセラピストである妻の協力も得ながら試行錯誤しております。


Well-Beingが高まることは健康寿命の延伸(アンチエイジング)につながり*****、冒頭に述べた少子高齢化が進む日本社会の持続的繁栄の礎にもなります。抗加齢医学の専門医としてだけでなく、マインドフルネスヨガセラピスト第1号として、これからもライフワークである”みなさんの笑顔と健幸”の実現に尽力する所存です。

ヨガセラピーの普及啓発を通じ、日本ヨガメディカル協会の活動に貢献します。

* アンチエイジング(抗加齢)医学とは、予防医学であり長寿科学の一部です。 “加齢”に伴う最大寿命はバイオレジリエンス(生物学的回復力)の消失と考えられていますが、その一方で”老化は疾患”ととらえ、長寿研究を基礎に学際的に実践を通じて健康長寿を目指す領域です。老化は遺伝子が関連しているものは20%程度で、80%程度は環境因子と言われています。(第4版アンチエイジング医学の基礎と臨床2ページより一部改変引用)

** Well-Beingに対する日本語として学術的に統一した見解はありません。私見としてここでは”全人的な健康”を充てています。

*** コーチング心理学概論第2版136ページより一部改変引用

**** ワークエンゲージメントとは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態として、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)の3つが揃った状態として定義されます。(令和元年版労働経済白書)

***** Kubzansky LD, Huffman JC, et al : J Am Coll Cardiol 2018;72:1382-96


【 北野 克宣 先生 プロフィール 】

医療法人 菅井内科 抗加齢・生活習慣病センター長

ホームページU R L:https://www.sugai-clinic.or.jp
Facebookページ:https://www.facebook.com/sugaiclinic

博士(医学)(金沢大学)
日本内科学会認定総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本禁煙学会認定専門指導医
日本抗加齢医学会認定抗加齢医学専門医
日本医師会認定産業医
NPO法人 禁煙推進の会えひめ理事
日本臨床コーチング研究会認定コーチ
日本笑い学会・笑いの講師団 ”笑顔と健幸の伝道師”
日本臨床栄養協会認定 NR・サプリメントアドバイザー
日本健康生活推進協会 健康マスター推進リーダー
日本ポジティブ心理学協会認定ポジティブ心理学プラクティショナー
日本ヨガメディカル協会認定マインドフルネスヨガセラピスト