開催報告~2019.1.6シニアヨガ指導者養成講座~
開催報告 2019年1月6日
ヨガメディカル協会 シニアヨガ指導者養成講座
松の内にもかかわらず、日本各地からのご参加を頂きました。
ここのところ参加者様の受講の動機(ご職業?)に変化がみられます。
以前は、ヨガインストラクターの方が殆どでしたが、今はデイサービスなど介護に携わる方、病院関係の方、
また、シニアヨガで地域を活性化させたい!方など、多岐にわたり《シニアヨガ》の広がりを感じ、大変嬉しく思います。
講座は参加者からのお声でどんどん深まっていきます。
「お声掛けしてよいのか?悪いのか?わからない(特に男性)方がいらして、どうしたらよいですか?」
「私達は何気なく使っている言葉も、シニアの方にはどうなんでしょうか?」など、人生の大先輩とご一緒する際の言葉の選び方は大切です。
最後は、サンプルクラス。
皆さんが先生で、皆さんがシニアの生徒さん役です。
「シニアあるある」に皆さん「なるほど!」「えーっそうなんですかぁ?」「あります!あります(笑)」など、驚いたり戸惑ったりしながらも、しっかり学びを生かしてサポートしてくれました。
シニアヨガ指導者は、高齢者の方々が心地よく、気持ちよく、心と体を動かすお手伝いを致します。
これからも日本の各地でシニアヨガが 高齢者様の『キョウヨウとキョウイク』になることを望みます。
( シニアヨガ指導者養成講座講師 伊藤典子)
【報告】パーキンソン病とヨガ勉強会
2月2日、東京慈恵会医科大学 内科学講座 神経内科 助教
葛飾医療センター 神経内科 余郷 麻希子先生 と、Studio Full Moon の望月聡子先生をお招きし、パーキンソン病とヨガの勉強会を行いました。
パーキンソン病について、余郷先生から説明をいただきました。
運動の微調整を行う脳の部位の機能が低下する原因不明の難病ですが、薬が効きやすいのと、早期発見できればリハビリの有効性が高いと言われています。
バランスの改善や、筋力・可動域のアップはQOLの向上につながると言われ、これまでも太極拳や、アルゼンチンタンゴの有効性が研究されてきています。
介護保険を使って、デイサービスに行くという選択肢もある中、それに抵抗がある若年性パーキンソン病の方もいるとのこと、やはり多いのは、病院の中でリハビリがてら何かできたらいい、という声だとのことでした。
8年間、パーキンソン病の患者さん向けのクラスを続けてこられた望月聡子さんから、実際のクラスの様子や患者さんに対して気をつけていることを教えていただきました。
患者さんに接するときに一番大切にされていることは「聴く」ということだという望月先生、その方の今日の状態をお尋ねしながらも、プログラムの内容は変えないとのことです。変えないことで、患者さんが今日の調子を自ら気づくことを狙いとしています。
先生曰く、飴と鞭を使い分けています、とのことでしたが、先生のところに行くと元気になる、と今でも患者さん向けのクラスはなくてはならないものになっているようでした。
パーキンソン病の患者さんの運動リスクは、起立性低血圧、急な方向転換ができないこと、バランスを取るのが難しいこと、転倒などがあります。
起立性低血圧に関しては、寝た状態から立ち上がるときに、手足の筋肉を動かし、血流を起こしてから起き上がることでかなり症状を緩和できるとのことでした。特に足の筋肉は大きいので、動かすことで静脈の血流が上昇します。
では、実際の患者さんが具体的にどのようなことができ、どのようなことに難しさを感じるのかを、運動強度が著しく低いマインドフルネスヨガセラピーのプログラムで体験してみました。
やはりポーズの中には、転倒の危険などがあるものもありましたが、それをどのようにアレンジしたら良いだろうか、という議論が大変参考になりました。例えば、マットの上を歩く瞑想では、歩幅が小さいままであることと、方向転換の難しさから、できるだけ広い場所で方向転換をしなくて良いようにし、、歩幅の目印になるような床へのテープなどを貼って行う方が良いだろう、という意見が出ました。
また、手足の感覚がなくなる患者さんを、望月先生はあえて触って差し上げるとのことでした。ヨガセラピーでは、必要ない限りハンド・アジャストは行わない、触るときは配慮をした上で、という安全対策がある一方で、アルゼンチンタンゴが良いと言われるのも、触れ合いがあるからだ、ということを知り、つくづくヨガセラピーはケースバイケースだということを実感しました。
海外では、パーキンソン病や多発性硬化症の患者さん向けのヨガの指導書が販売されています。異なるコンディションに応じたポーズのバリエーションがイラスト入りでわかりやすく解説されています。
今回の勉強会を通じ、特定のプログラムが全てのパーキンソン病の方に当てはまる、というものがあるのではなく、余郷先生が冒頭のプレゼンテーションでおっしゃっていた、患者さんに寄り添える専門的な指導者を育成する、ということに尽きると感じました。
協会では、パーキンソン病の方のリスクに配慮したプログラムを作成し、それを患者さんに対し最適化して指導していける人材の育成に取り組んでいきたいと考えています。そのためにも、パーキンソン病という病気を理解することはとても重要であり、大変勉強になりました。
(文責:岡部 朋子)
開催報告~町田まごころクリニックデイケアでのMYT研修~
町田市にあります精神科「まごころクリニック」にて、デイケアスタッフの皆様にお集まりいただき「心身の不調を抱えた方向けのヨガプログラム~MYT(マインドフルネスヨガセラピー)プログラム研修~」を行ってまいりました。
職場の雰囲気が大変良く、デイケアがお休みの日にスタッフ全員でご受講くださるとのこと、当日は残念ながら1名のみインフルエンザで欠席されましたが、最初から最後まで深い信頼関係が伺える 温かい時間となりました。
以下、レポートとなります。(※クリニックさんの許可をいただき、画像と開催報告を掲載しています。)
◆開催日:1月14日(月・祝)
◆研修時間:9時~16時30分ごろ終了(実質7時間)
◆参加人数:9名
◆講師:MYTプログラム講師 石井及子
【 最初の自己紹介で多かった内容】
・体が硬いので不安
・リラックスしたい
・自分がリラックスできたら人にも伝えたい
・マインドフルネスに興味がある
・生活の中で活かせるリラクセーションのヒントが欲しい
などなど
【 研修内容 】
・MYTプログラム指導者養成講座テキストを使用
・75分のクラスを実際に受けていただいてから質疑応答とテキストを用いた座学
・午後はクラス内容の実践、ロールプレイングで全て網羅。
【 受講されたスタッフの方々の感想 】
・ヨガクラスを受ける前と後で体に変化があった。
・クラス前には頭痛がしていたのが、クラス終了後には治っていた。
・体が硬くても出来るポーズばかりで、患者さんにもできそうだと思った。
・受け身でいることの心地良さ。言われるがままに動けばよい受け身が良かった
・体が硬いとできないと思っていたヨガだが、本来は思考を止めることがヨガであり、つまりマインドフルネスそのものであると知ることができて腑に落ちた。
・価値のある時間を過ごせた。
・ヨガはとても心地よくて、患者さんにも是非やってもらいたいが
実際に自分が伝える側になると声かけ、ポーズ説明などがとても難しいと感じた
【 講師の感想 】
体が硬くても、運動の習慣がなくても、簡単でにできて心地良さを感じられるのがメディカルヨガであること、そして柔軟性など関係なく、マインドフルネスな状態になっていただくことが、いかに大切かを知っていただけたことが嬉しいです。ヨガをやると心身に良いということはわかったものの、実際に患者さんにクラスを行うとしたら、インストラクションの部分で戸惑いや難しさを実感されるかもしれません。研修後も継続してフォローアップさせていただければと思います。
心身の不調を抱えた方向けのヨガプログラム「マインドフルネスヨガセラピープログラム(MYTプログラム)」の医療者向け研修を下記の通りで行っております。
① MYTプログラム 体験研修 2時間
② MYTプログラム 実践研修 6時間
③ MYTプログラム体験+実践研修 7時間
詳細に関するご質問やお申し込みは、お問い合わせより「MYTプログラム研修の件」というタイトルでご連絡ください。上記の研修時間以外でも、ご相談に応じますのでお気軽にご連絡ください。
医療におけるサポートと自立支援
医療現場において、患者さんへのケアやサポートは、どこまでするべきなのでしょう。特にがん患者さんへのサポートは、近年どんどん手厚くなってきているようです。では、そのサポートとは果たして本当の意味で患者さんへのサポートになっているのでしょうか。患者さんを一方的に支えるだけでは本当のサポートにはならないのではと、懸念を示す医師もいます。
例えば、人の手を借りて楽になる。癒しを得る。これは、一見サポートのようではありますが、人に頼まないとできないことです。
これを、仮に自分で自分を楽にできる手段を伝える。癒しを得られる方法を覚えてもらう。に切り替えた場合はどうでしょう。
その患者さんは、ひとりの時でも楽になれたり、癒しを得ることができるのです。誰に頼るわけでもなく、自らそれらができるようになるのです。自分自身でそのような状態を作りだせたとき、人は自信と希望を再び胸に抱くことができるのではないでしょうか。病気になってしまった自分を、もう一度好きになることができるのではないでしょうか。
自分でできることは自分でする。それが人としての尊厳を保つために必要不可欠なことであり、患者さんへの自立支援こそが真のサポートに繋がるのではと思います。
とはいえ、現実では闘病、治療の過程で身体の自由は少なからず奪われます。出来ることも限られてしまいます。そんな時、人は自暴自棄になり自分の足で立とうとすることを諦めてしまうこともあるでしょう。人に頼ることしか考えが及ばなくなる時もあるかと思います。
そんな時こそ、医療スタッフの方々の寄り添いと励ましで患者さんの自立支援をサポートする時なのだと思うのです。
何にでもヨガを結びつけるようですがヨガは、呼吸さえしていればできます。マット一枚のスペースでも、椅子に座ってでも、病棟のベッドの上でもできます。ただ、手のひらを開いたり閉じたりすることを、ゆっくり丁寧に呼吸に合わせて行うだけでも頭の中がスッキリします。余計な緊張が取れます。
慣れ親しんだ病院スタッフの方々から、その方法を教わることができたとしたら、患者さんにとって、どんなに安心でしょう。
ヨガセラピーの効果は、実際に体験していただいた方にしか伝わらないかもしれません。しかし実際に私たちの目の前では幾人もの方々が、いたって単純簡単なことで全身の変化を感じてくださいました。楽になっていただけました。難しいポーズを取ることがヨガなのではありません。本来のヨガとは、呼吸と、ゆっくり丁寧な動きに意識を集中するだけなのです。そしてそれは覚えてしまえば、いつでもどこでも自分一人でできるのです。患者さんのQOLの向上に繋がるのです。
ヨガの効果に科学的根拠を求められますと、残念ながら、まだまだ解明しきれていないことだらけであることは事実です。
エビデンスの少ないヨガではありますが、少しづつ医療者へのヨガ提供の場を設け、実際に体験していただくことで、効果を実感していただき、信用と理解を得て、患者さんへの自立支援、サポートとして寄り添うヨガを医療現場に普及させていくことが、当協会の社会的役割だと思っております。
〈 石井及子〉
心身の不調を抱えた方向けのヨガプログラム「マインドフルネスヨガセラピープログラム(MYTプログラム)」の医療者向け研修を下記の通りで行っております。
① MYTプログラム 体験研修 2時間
② MYTプログラム 実践研修 6時間
③ MYTプログラム体験+実践研修 7時間
詳細に関するご質問やお申し込みは、お問い合わせより「MYTプログラム研修の件」というタイトルでご連絡ください。上記の研修時間以外でも、ご相談に応じますのでお気軽にご連絡ください。
【感謝状】2018年ヨガセラピーの普及への多大なる貢献
【川口貴枝先生】
乳がんとヨガの指導者育成団体で初代リーダーを務められ、2018年、BCY Institute Japanの全国活動の基盤が完成しました。
また、埼玉県内の病院で看護師向け指導者養成講座ならびに患者向けクラスを開催を続けられました。
患者さん向けクラスに医療者の方がアシスタントとして参加することを通じ、医療者が患者さん向けに直接ヨガクラスを開催できるフレームワークを構築されました。
その功績をたたえ、2018年の感謝状をお送りさせていただきました。
【深谷晴美先生】
茨城県大子町にある袋田病院で精神科の看護師として働かれながら、院内のヨガクラスを続けてこられました。2018年、心理行動療法をヨガの側面から補完するマインドフルネスヨガセラピー(MYT) プログラムを院内で実施し、患者さんのみならず院内のスタッフの研修も実現しました。
ヨガのクラスは患者さんからの評判がとてもよく、院内でのヨガへの信頼も獲得しました。深谷先生は、協会のMYTプログラム普及チームの一員として、指導者養成講座のプログラム構築にも携わっています。
その功績をたたえ、2018年の感謝状をお送りさせていただきました。
お二人の活動内容につきましては、後日協会HPにてご紹介させていただきます。