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ヨガの実践は、乳がん女性の治療に関連する副作用や生活の質を向上させることができるか? 系統的レビューとメタ解析

2017年06月12日

Review article

Pan Y, et al. Asia Pac J Clin Oncol. 2017.

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抜粋

目的:補完代替療法としてのヨガが、乳がん患者の健康や治療に関連する副作用の増強と関連しているかどうかを判断する。この系統的レビューは、ヨガの実践が乳がん罹患女性のために身体的および心理的に測定可能な利益を提供するかどうかを調べた。

方法:2013年6月にPubMed、EMBASEおよびコクランライブラリーを使って無作為化比較試験(RCT)を検索した。Cochrane Handbook 5.2により試験の質を評価し、Stataソフトウェアバージョン10.0を使用してデータを分析した。メタ – 回帰分析およびサブグループ解析も転帰の追加予測因子の同定および不均一性評価のために実施した。

結果:16のRCTに930人が含まれていた。ヨガ群とコントロール群を比較すると、全体的な健康関連生活の質(QOL)、うつ、不安、消化器症状において統計的に有意な差があった。メタ – 回帰分析により、ヨガの練習期間およびコントロール群のタイプにおいて部分的に不均一性が示されたことが明らかになった。サブグループ解析によると、ヨガは3ヶ月以上練習したときにのみ不安に効果が示された。待機リストコントロール群のみが、身体的健康に関するヨガの効果を示した。

結論:現在のエビデンスは、ヨガの実践が乳がんから立ち直る患者のための健康増進、治療関連の副作用を管理するのに有効である可能性を示している。将来の臨床研究において、臨床医は、現在のヨガ実践の効果に関する最良のエビデンスに沿って、患者希望を考慮し意思決定をする必要がある。

© 2015 Wiley Publishing Asia Pty Ltd.

PMID 

25560636 [PubMed – indexed for MEDLINE]

監修:矢形寛医師(埼玉医科大学総合医療センター)翻訳:住谷真理子

成人の慢性疼痛に対する身体活動とエクササイズ(コクランレビューの概要)

2017年06月12日

背景:

慢性疼痛は、一般的に正常な組織が治癒する期間(12週間)を超えて継続する痛みを指す。慢性的な痛みは、障害、不安、うつ、睡眠障害、生活の質(Quality of Life: QOL)の低下、医療費の増加につながる。成人の平均2割が、慢性疼痛に悩まされている。長年、その治療法として、休息や安静などが推奨されてきた。しかし、身体活動やエクササイズは慢性疼痛を軽減するだけでなく、心身の状態や機能においてより幅広い効果をもたらすかもしれない。多様な医療の枠組みの中で、慢性疼痛の様々な症状に対して、身体活動やエクササイズはますます推奨され、実践されている。それゆえ、運動プログラムの有効性や安全性を確立すること、これらの方法が成功するか失敗するかを左右する要因に焦点を当てることが、現段階で重要である。

目的:

成人の慢性疼痛に関するコクランレビュー概要の目的は、以下である。
異なる身体運動やエクササイズの介入による痛みの軽減効果や、身体機能、QOL、医療での実用での有効性を示す。
身体運動やエクササイズに関連する副作用や有害事象のエビデンスを示す。

方法:

ランダム化比較試験を行う為、恣意的に設定した2016年3月21日(CDSR 2016, 第3版)までの更新版レビュー、未完成レビューを追跡した後、コクランライブラリー(CDSR 2016, 第1版)上のコクラン・システマティク・レビュー(CDSR)を検索した。*AMSTAR法を用い、それらのレビューに用いられた方法の質を評価。そして、エビデンスの質をもとに、痛みの症状に関するデータ分析を試み、以下に関するデータを抽出した。(1)自己申告による痛みの重症度(2)身体機能(客観的、主観的に評価)(3)心理的機能(4)QOL(5)定められた介入への順守率(6)医療での実用・参加数(7)副作用(8)死

入手可能なデータが限られた為、運動による介入の直接的な比較や分析はできず、質的なエビデンスの報告となっている。
*AMSTR(A measurement tool to assess reviews、システマティックレビューの方法の質を評価するツール)

主な結果:

37,143人が参加した381件の試験を含む21件のレビューを対象とした。このうち、264件の試験(参加者19,642人)では、慢性疼痛を抱える成人を対象に、エクササイズを行った場合と、行わないまたは最小限行った場合を観察した。いずれも質的分析である。痛みの症状は、リューマチ性関節炎、骨関節炎、線維症、腰痛、間欠性跛行、月経疼痛、機能的頸障害、脊椎傷害、小児マヒ後症候群、膝蓋大腿である。これらのレビューはいずれも「慢性疼痛」「慢性広範痛症」を総称、または特定の条件として評価していない。介入の種類は、有酸素運動、筋力増強運動、柔軟運動、その他様々な動き、体幹やバランスのトレーニング、そしてヨガ、ピラティス、太極拳である。
AMSTARをもとにすると、これらのレビューは高く評価でき、バイアスリスク許容範囲内の試験を扱っていた。しかし、参加者の数の少なさ(ほとんどの試験で50人以下)、介入やフォローアップ期間の短さ(3〜6か月以上はほとんど評価されていない)から、エビデンスの質は低かった。適切ではあるが、エビデンスの質が低く注意をもって解釈する必要のあるレビューの中から結果を蓄積した。

*痛みの重症度:
幾つかのレビューは、エクササイズによる肯定的な結果を示した。3つのレビューのみ、エクササイズによる介入が満足な変化をもたらさなかったとしている。しかし、介入やフォローアップを通して、結果に一貫性がなかった。自己申告による痛みの変化の分類では、エクササイズは一貫性のある結果をもたらさなかった。

*身体機能:
これは最も結果が出た分類である。14件のレビューが、介入の結果、身体機能は非常に改善したことを示した。ただし、これらの結果の効果は小さい(大きな効果を報告したレビューは1件のみ)。

*心理的機能とQOL:
結果は一定ではなく、エクササイズが効果的だった、もしくは、エクササイズの有無で違いは見られなかったのどちらかだった。(ただし、肯定的な結果の効果の大きさは中小程度。2件のレビューは、QOLで高い効果を示した) 否定的な結果はなかった。

*定められた介入への順守率:
これは、いずれのレビューでも評価できなかった。しかし、途中でやめてしまうリスクは、グループ間の違いで顕著ではないが、エクササイズを行ったグループが若干高かった。(1000の参加者のうち82.8人/1000の参加者のうち81人)

*医療での実用/参加数:
いずれのレビューで報告はなかった。

*副作用、潜在的な有害、死:
18件のレビューで扱われた試験に関して、わずか25%が積極的に副作用に関して報告された。入手可能なエビデンスをもとにすると、ほとんどの副作用は、痛みの増加、介入の数週間後に沈静する程度の筋肉痛であった。1件のレビューは、副作用の例とは別に死亡例を報告した。統計上の有意性はないが、介入は死を予防することを示唆した。

筆者たちの結論:

慢性疼痛に向けた身体活動やエクササイズの効果を示すエビデンスの質は低い。これは、サンプルのサイズが小さく、研究が潜在的に検出力不足である為である。多くの研究が、適切に長い介入をしていたが、その後のフォローアップが6件を除く全てのレビューにおいて、1年以下と限定的であった。レビューによって結果に一貫性は見られないが、痛みの重症度の軽減、身体機能を向上させる効果は、中小程度あった。心理的機能、QOLに関しては、効果は様々であった。入手可能なエビデンスは、身体活動やエクササイズは、副作用がほとんどなく、痛みを軽減し、身体機能、QOLを向上させる介入であると示唆している。しかし、更なる研究が必要であり、参加者の人数を増やし、より広範囲な痛みの重症度を有する参加者を含めるべきである。また、介入自体やフォローアップの期間も長くすべきである。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/28087891/

*Geneen LJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2017

翻訳:平山綾子

ヨガセラピーでは、どの種類のヨガを選んだらよいのか?

2017年02月10日

ヨガの臨床試験では、ヨガによる介入として様々な種類のヨガが導入されています。

今回公表された系統的レビュー(*)には、306件の無作為化試験が組み込まれ、合計52種類のヨガの手法が使われていました。最も多かった順に、ハタヨガ(36件)、アイアンガーヨガ(31件)、プラーナヤーマ(26件)でした。
306件のうち277件(91%)の無作為化試験で、ヨガの介入による良好な結果が示されました。つまりほとんどの試験でヨガは有用だったのです。

では、ヨガの種類別にみたときに有用性に差はあったのでしょうか?
結果として本系統的レビューでは、ヨガの種類によってその良好な結果に差がある、ということは示されませんでした。
これらの結果を踏まえて、患者さんにヨガを導入する際には、ヨガの種類にこだわるよりも、その患者さん個人の嗜好性やその人にとって利用しやすいのかどうか、ということを基本に選択することができる、と結論付けています。

* Cramer H, et al. ”Is one yoga style better than another? A systematic review of associations of yoga style and conclusions in randomized yoga trials.”

Complement Ther Med. 2016 Apr;25:178-87.

ヨガによる有害事象に関する大規模調査(アメリカ)

2017年02月9日

ヨガは心と身体の健康によい影響を及ぼすとされていますが、良い影響だけでしょうか?
安心・安全にヨガを患者さんに提供するためには、ヨガにより引き起こされる怪我についても考慮しなければいけません。

ヨガはアメリカではとても人気があります。今回、アメリカにおけるヨガに関連した怪我の2001年~2014年までのデータが公表されました*。

・13年間で29,590件のヨガに関連した怪我が発生
・最も多かった怪我の部位は胴体(46.6%)
・最も多かった診断名は捻挫/筋違い(45%)
・怪我の割合は2001年~2014年の間に年々増加
・2014年単年だけみると、65歳以上の年齢層は、65歳未満の年齢層に比べて怪我の割合がとても多かった(10万人のうち57.9人)

ヨガは私たちや患者さんの健康に良い影響をもたらしますが、一方で怪我のリスクについてもしっかり意識をすることが大事です。

メディカルヨガを希望する患者さんには事前に医療者にヨガをすることに関して相談してもらうことが大事です。
そしてメディカルヨガの提供者も正しい知識を身に付けることはもちろん、個々の患者さんの状態に合わせて安心・安全なヨガを提供していかなくてはなりません。

* Swain TA, et al. Yoga-Related Injuries in the United States From 2001 to 2014.
J Sports Med. 2016 Nov 16;4(11):2325967116671703

「Patient-reported outcome」で評価されるヨガセラピー

2017年02月8日

Patient-reported outcomeは臨床試験で医師を介さずに患者さんご自身が効果を評価するものです。
近年医薬品の臨床試験においても患者さんの生活の質(Quality of life:QOL)が注目されるようになりました。従来の臨床試験は医師による評価が主流でしたが、痛みをはじめ睡眠障害、不安、疲労、生きがい、幸福感、心の健康などに関し、医師評価の代わりに患者さんが自分自身を評価するPatient-reported outcomeが重要視されています。

ヨガセラピストにとってヨガは患者さんにどのような影響を与えているのかについてはとても興味深いところだと思います。最近ではPatient-reported outcomeを用いたヨガの臨床効果を検証する臨床試験の数も増えています。

10月にメタボリックシンドロームのリスク低減のためのヨガの効果についてPatient-reported outcomeを用いて評価した無作為化比較パイロット試験の結果が公表されました*。

67人のメタボリックシンドロームのリスクのある成人(平均年齢58歳、男性50%、79%が非ヒスパニック系白人)が対象となった試験で、健康教育と12週のヨガプログラムを実施した群と、健康教育のみを実施した群とでストレス、QOL、心理的アウトカムを評価しました。プレリミナリーな結果として、健康教育とヨガの両方を施行した集団は、ヨガを施行していない集団に比べて、身体的・精神的に健康状態が大きく改善されたことが示されました。

この臨床試験ではPatient-reported outcomeのツールとして、ストレスを評価するもの(PSS)、気分状態を評価するもの(POMS)、健康コンピタンスを評価するもの(PHCS)、マインドフルネスを評価するもの(FFMQ)、身体的・精神的健康状態を評価するもの(SF36)が使用されていました。

今後もヨガセラピーの臨床試験の評価として、Patient-reported outcomeが注目されていくことでしょう。

* Sohl SJ, et al., Evid Based Complement Alternat Med. 2016;2016:3094589. Epub 2016 Oct 26.