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【分科会簡易報告】看護師とヨガ

2017年07月24日 | 協会報告

全国からヨガに興味がある看護師さんが集まりました。
テーマは「Care for Caregiver」
バックグラウンドも、現在の働き方も、看護への想いも様々。
多様性の包容もヨガの醍醐味の一つです。
総括は後日掲載しますが、Take Home Message の一部をご紹介します。

「言葉にするのが難しいことだからこそ、あえて言葉にしてみないと共有できない」
 ◉ 皆で言語化してみました。
「その人がどうしたいかを尊重し、そっと手伝う」ことがヨガの姿勢
看護師という職業の3大特徴「感情労働・コミュニケーションを通じた逆転移・ねばならない化」
 ◉ Self Compassion について学ぶ

埼玉森林病院内科医・産業医 笹岡 大史先生のメディカルサポーターご就任

2017年07月18日 | 協会報告

埼玉森林病院内科医・産業医
メディケア・アカデミー代表
笹岡 大史先生にメディカルサポーターにご就任いただきました。

 

日本ヨガメディカル協会のご発展を祈念して

私は、急性期医療に循環器内科医として長く関わり、心臓を中心とした救命救急医療を行って来ました。その後、社会構造の高齢化や複雑化の進展により超高齢および高ストレス社会となり、急性期医療の限界を知るとともに介護や精神科医療に興味を持ちキャリアチェンジをして来ました。

ヨガに興味を持ったきっかけは、介護や精神科医療の現場を見ていると、薬物療法では対応困難な認知症や精神疾患の患者さんが沢山いることを知ると共に、日本では非薬物療法としての様々なエビデンスのある療法の認識が遅れているのではないかという危機感を持ったことからでした。ちょうどその頃に、協会の会員でもある福本里美様からの紹介で一般社団法人ヨガメディカル協会の第1回カンファレンス「 医療とヨガセラピーのJapan Way」に参加をしました。カンフェレンスがキッカケで、参加者同士で精神科医で林香寺住職の川野泰周先生、バラ折り教室の小野田嘉子様、愛誠病院ヨガクラス平山綾子様との交流にも発展しました。

さらには、私自身が健康増進の必要性を感じていたものの、ハードトレーニングをするようなジムに通うのも躊躇し、代表の岡部朋子様に相談したところ、自宅近くのヨガ教室を紹介して頂きヨガを始め、週1回のペースで休むことなくヨガを続けることが出来ており、体験としてヨガの良さを実感することが出来ています。それまでは4000年以上も続くヨガの歴史こそが、間違いのない健康増進のエビデンスであると考えていたものの、ヨガを経験するキッカケがありませんでした。

医学的にヨガの運動を考えると、メカニカルに関節や骨格筋の機能改善はもちろんですが、身体の生命維持装置である心拍、呼吸、循環動態、免疫機能、精神状態をつかさどる、自律神経系のバランスを整える効果が大きいと考えています。神経は、体性神経と自律神経に分類出来ますが、体性神経は「運動神経」と「知覚神経」があり、自分の「意識」で動かすことや感じることの出来る神経です。逆に自律神経は「自律」した活動をしており意識が出来ないものですが、長期的な健康維持をするために自律神経の安定化は必要不可欠であり、健康は成り立たないものです。ヨガは身体機能を高めるとともに精神を統一し、心身合一を実践するものです。精神性が整うと健康的な生活習慣を続けることが出来るようになり、結果的に身体疾患の予防にもなります。

ヨガの運動を分析すると、医学的にも高齢者や障害を持っていても実践出来る理想的な運動であると考えられます。運動前後に行うストレッチには、動的ストレッチと静的ストレッチがあります。動的ストレッチは準備運動のように、体を動かしながら交感神経活性を高め、筋肉の最大パフォーマンスを発揮するための体の準備をすると考えられます。また、静的ストレッチは運動後のクールダウンし交感神経優位の状態から副交感神経とのバランスを整え、疲労回復や筋の発達促進、柔軟性向上の効果が期待されます。ヨガは、動的・静的ストレッチの双方の要素を持っています。

さらに、筋収縮の種類には、静的な等尺性収縮(アイソメトリック、長さが一定)と、動的な等張性収縮(アイソトニック、張力が一定で動く)、等速性収縮(アイソキネティック、伸び縮みの速度が一定)の3様式があります。静的な等尺性収縮トレーニングは、ダンベルやマシンなどを使って行う動的な等張性収縮による筋トレに比べると筋肥大効果を得るには不利ですが、正しく行えば筋力増強や引き締め効果を得ることが可能です。また、静的運動は姿勢の矯正や保持を含めた、筋持久力アップに顕著な効果が期待されます。

ヨガは、動的にポーズを変化させながら、呼吸法を用いて自律神経を整えつつ、筋肉の動的静的な運動を通して健康増進を進める理想的な運動ではないでしょうか。これからの医療は、発病後の治療だけではなく、未病の段階から健康増進をする予防医療の大切さを忘れてはならないと考えます。日本ヨガメディカル協会の活動が、国民の健康を支える上で、重要な存在となることを確信しています。

この度、メディカルサポーターとして協力をさせていただけることになり、協会の発展に関わっていけることを、末長く楽しみにしています。

平成29年7月5日

埼玉森林病院内科医・産業医

メディケア・アカデミー代表

笹岡 大史

【分科会報告書】視覚障がいとヨガ勉強会

2017年07月15日 | 協会報告

日時: 2017年7月9日(日) 13:30 〜 16:30

テーマ: 知ること、感じること、考えること、そして伝えること

<第一部>
視覚障がいを知ろう 〜「見えにくい」ってどういうこと?
講師:いけがみ眼科整形外科 眼科 澤崎弘美先生

「視覚障がい」についてのイメージについて話し合ったあとに、基礎知識をご教授頂いた。
その中でも様々な見えにくさの中で代表的な「視力低下」「視野狭窄」「中心暗点」の3点について、実習用眼鏡を使用して、フォントの違う文書や白黒反転の文書を見たり、文字を書いたり歩いたりして体験を行った。

<第二部>
視覚障がいの方をガイドするには? 〜感じてみよう〜
講師:神奈川ライトセンター 歩行訓練士・社会福祉士 内田まり子先生

視覚障がいの方をガイドする際のポイントと気をつける点について、ご教授頂いた。
その後2人組になり実際に歩行・階段昇降などを行い、ガイドする側・ガイドされる側を体験した。

<第三部>
チャレンジド・ヨガ 〜視覚障害の方のヨガとは〜
講師:国立障害者リハビリテーションセンター
資格訓練講師・社会福祉士・ヨガインストラクター 高平千世先生

視覚障がいの方のヨガクラス「チャレンジド・ヨガ」についてのご説明を頂いた。

・活動目的  ①視覚障がいの方へ定期的・継続的に体を動かす機械の提供
②障がい者=チャレンジドが社会・自分のために本来の力をいかせる機会の提供
③ヨガの本来の意味=繋がる(Yuj)地域コミュニティの創出
④ヨガを通じて社会の障がいに対する意識・認識を変化させ気づきを促進する活動
(共に生きる社会を目指す)

・6つの特徴 ①ゆっくり・安全に・そして楽しく、をモットーに3STEP方式でポーズを理解
②わかりやすい言葉と声が聞き取りやすい環境
③弱視の方に見やすい環境
④障がい者向けでなく世界共通のヨガポーズ
(個人の体の状態にあわせたり、反復練習するなどの工夫)
⑤サポーターの誘導・動作支援
⑥希望者への会場までの最寄り駅からの送迎

ヨガ実践者として視覚障害当事者からのお話を伺った。
「一般のヨガクラスに申し込んでも、「安全上」「講師への負担」「他の参加者への負担」という理由で断られることが多い中で(特に後者2点の理由は自分が迷惑をかける存在と認識させ、自身の努力ではどうにもできないものであった)、チャレンジドヨガの存在を知ったときは一筋の光を見いだしたようであった。」

アイマスクを着用し、誘導によりヨガ実技を行った。
声かけなくアシスト・アジャストされる体験を行い、感想をシェアした。

文責:松原

がんコミュニティのためのヨガ at SYTAR 2017

2017年06月19日 | 協会報告

世界最大のヨガセラピーカンファレンスSYTAR2017、今年もロサンゼルスニューポートビーチで始まりました。
初日は毎回、CICと呼ばれる、Common Interest Community から始まります。

6つのセッションについてはこちらをご覧ください。
https://yoga-medical.org/course/1411/

その中の-がんコミュニティのためのヨガ:「実践者の集い」について、内容を一部ご紹介いたします。

がんの生存確率は確実に上昇傾向にあり、ヨガは、治療中の患者、そして治療を終えたサバイバーにQOLというサポートを提供できる、支援療法です。
需要に導かれ、北米のみならず、全世界中で、がんとヨガに特化したヨガセラピストたちが活躍を始めています。

プロフェッショナルとしての活動を開始したヨガセラピスト達は、ヨガセラピーという古くて新しい、そして優しい手法を、既存の治療を支援するという意味合いで応用することができることでしょう。
それに伴い、IAYTは、これらの新しい治療支援モデルに根拠を与える研究を随時アップデートし、変化の激しい医療業界において、市民の健康と幸福に関する方法論として確立していくことを目指していきます。

今回のカンファレンスにおいて、様々なヨガセラピスト達の実績や、経験を全世界からの参加者と共有し、必要とされるテクニック、安全のためのスキル、そしてがんとヨガという領域における共通認識をさらに発展させていく、それが今回のCIC( コモンインレストコミュニティ:Common Interest Community)の目的です。

私たちはこのCICを通じ、お互いに閃きや発見、そしてがんという深刻なテーマにおける思慮を、国境を越えて共有し、これから私たちが社会に提案していけるテーマや問題点を議論できる、専門性の高い貴重な機会です。

ヨガの語源は、つながる、結ぶ。

がんという人類が避けられない疾病に対し、考えられうる最善の未来への知恵皆で提案しあい、各国の事情において実現可能なプロジェクトとして取り組んで消える土壌として、本コミュニティは開催されます。

【演題】

Lara Benusis, MA, C-IAYT, E-RYT 500
がんと診断された方の運動神経刺激の低下にヨガができること

Sharon Holly, C-IAYT, YTRx-800c
がんサバイバーへのセラピーを通じた気づき

Lee Majewski, MA, C-IAYT
ヨガセラピーが、がん治療後のケアに貢献できる可能性について

Erin Meyer, PhD, E-RYT, YACEP
地域に根ざしたヨガセラピー(対象:がんサバイバーとその家族)による持続可能な革新的なモデル

Simone Palmieri, RYT 500, C-IAYT
あなたのサバイバーが記憶障害を抱えた時:どうやって記しそれを記録するか

Michelle Smith, MS Yoga Therapy, C-IAYT, E-RYT
がんのホスピスにおけるヨガセラピー

(CICシラバスより:翻訳:岡部)

ヨガセラピストの本棚:メディカルヨガ ヨガの処方箋(バベルプレス)

2017年06月9日 | 新着情報

昨今よく耳にする「健康寿命」というこの言葉。平均寿命が延びつつある現在、注目されるは「いつまで健康上に問題のない状態で日常生活を送ることができるのか」という意味の「健康寿命」です。

H29年より「セルフメディケーション税制」も導入され、政府は自主的な健康の維持増進及び疾病の予防への取り組みを推奨しています。

ヨガなどの適度な運動が、健康促進に良いということはすでに常識となっています。

一家に1冊は医学書があったように、「ヨガの処方箋」なる本が手元にあればどんなに心強いでしょう。

「Yoga Journal」米国版の医療編集者を務め、ヨガ・インス トラクターであり、また内科専門医でもあるティモシー・マッコール氏は、癌や糖尿病、うつ病など、 現代人を悩ます20の症例へのヨガの講師陣20名による、症状改善のための実用書「YOGA AS MEDICINE」を作りました。
そして、その日本語訳版が「メディカルヨガ ヨガの処方箋」です。

健康美、肉体的鍛錬、精神性を謳うヨガから一歩引いた、ただただ健やかに暮らしたいという一般的な人々のための実用書となっています。
当てはまる症例のページを開けば、専門的、医学的観点からのワンポイントアドバイスや科学的根拠、そして禁忌についても詳しく記されており、ポーズは写真と共に解りやすく説明されています。

「病気の人も、衰弱した人も、老いも若きも、たとえかなりの高齢者でも、地道にヨガを続ければ、確実に効果は現れるでしょう。」

~ハタ・ヨガ・プラディーピカ~に書かれたスヴァトマラーマの言葉で第一章が始まるこの本。

ヨガはインスタントなメソッドではなく、継続することでゆっくり長く効く薬だということを伝えてくれています。頓服薬ではなく、内服薬のようにこの処方箋を、長くお使いいただくことを願います。

【 症例別ヨガの処方箋 掲載内容 】

1. 不安とパニック症候群
2.  関節炎
3.  喘息
4.  背中の痛み
5.  癌
6.   手根管症候群
7.   慢性疲労症候群
8.   鬱
9. 糖尿病
10.繊維筋痛症
11.頭痛
12.心疾患
13.高血圧
14.先天性遺伝症候群
15.不妊症
16.不眠症
17.過敏性腸症候群
18.更年期障害
19.神経多発性硬化症
20.肥満

※監修は当協会代表理事の岡部朋子です。

文責:石井及子