学びを深めるその先にある基本~松原昌代さんの記事
呼吸に意識を向けながら、自分の体を動かしその感覚を味わう時間。
みなさんはそれを提供することに意義があると考えて、ヨガセラピストとして活動されていることと思います。
しかし実際に現場に出てクラスを終えてみると「本当にこれだけでいいのだろうか?」と感じることはないでしょうか。
もっと相手に何かを授けられる自分にならなければ、そのためにもっと学ばなければ。
他にクラスの価値を高められることはないかな。
ハーブ?栄養学?ポーズを正確にとれるようになる?いつも笑顔の自分?・・・
もちろんヨガセラピストとして自身の学びを深めていくことは大切です。
安全に関すること・倫理に関することは特に。
しかし、相手の方に知識や気持ち良さや何かを与えられないと意味がないという自分への感覚を持つヨガセラピストが行うクラスでは、その言語外のメッセージ(何かを提供できないと価値がない)を相手の方にも届けることになってしまいます。
いまここにいる自分を大切にするというメディカルヨガのメッセージを、何かを提供できないと価値がないと感じているヨガセラピストがお伝えしていくのは難しいことではないでしょうか。
相手の方もどこか違和感を感じられるかもしれません。
また「私はヨガを中心に心や体・健康についてこれとこれとこれを学んできたので、それらを盛り込んだ充実したクラスを開催します。参加されるみなさんはどうぞそれをまるっと受け取ってくださいね。」というのも、相手のために、という気持ちからきていることとはいえ、その人と同じ立ち位置で寄り添うというスタンスにはいない状態ではないでしょうか。
学ぶことは素晴らしいことです。
また質問や相談をうけたときに、生活に関すること(心身の状態や病気・治療に関すること以外)であれば、提案したりアドバイスしたりすることもあるかと思いますので、そのようなときには学びが役立つこともあると思います。
学ぶべきか学ばないべきか、ではなく、どのような前提で何を学ぶのか。
もしご自身がヨガセラピストとしての欠落感から学びを広げようとする傾向があると気づいたときには、まずは自分自身に生かすためにそれを学ぶ。そして経験し、誰かにとってそれが有益かもしれないと感じたときにはそれをご紹介する機会を作る。
そのような心持ちで学びを深めていってみてはどうでしょうか。
(松原昌代 )