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メディカルヨガを担う組織として

2020年03月11日 | コラム

ヨガセラピーへの関心の高まりなのか、ヨガメディカル協会は他の団体とどう違うの?という質問を寄せられることが多くなってまいりました。
そこで、当協会が力を入れて行なっていること、逆にあえてやらないようにしていること、などをまとめてみました。皆様のご理解の一助となれば幸いです。

協会の活動の2本の柱


(1) セラピーとしてのヨガの存在の認知

病気の方や、体力に自信のない方でも行え、治療への向き合い方や生活の質の向上に活用できるヨガ〜ヨガというセラピーの存在を知ってほしいと考えています。

ヨガセラピーのパンフレットを作成し、認知アップに取り組んでいます。

(2) ケアする人にこそケアが必要

医療者や、介護をされている方、子育て中のお母さんなど、誰かのケアにあたっている方は、自分をケアする時間を十分にとれていないことが多いように感じます。誰かのケアにあたる人にこそ、自分を大切にする時間が必要です。適度な運動、マインドフルネス、休息がバランスよく含まれたヨガの活用を推奨しています。

以上の2本の柱をもって、日本の医療・健康を支えるヨガ – メディカルヨガという言葉を使っています。

協会の提供しているサービス

(1) セラピーとしてのヨガを提供できる人材の教育

カードなどのツール簡略化ではなく、目の前の一人一人に最適化できる力や、プロとして、マナーやコミュニケーションに配慮ができることを大切にしています。会員は毎年更新される手帳(クレド)を保有し、ヨガセラピストの役割についての正しい認識を確認します。

(2) ケアする人のためのケアプログラム

医療者のセルフケアとしてのヨガの提案(ヨガ部活など)や、介護される人にも役に立ち、自分のストレスケアになる仕組み)の普及に取り組んでいます。

協会が大切にしていること

【病理論:アセスメント】
あくまで西洋医学の病理論に従います。アプローチとして全人的ケアを大切にする東洋的思想に基づきますが、現代の日本の医療において介入を行う際には、西洋医学を補完するという立ち位置をとります。

【治療ではないことの徹底】
ヨガセラピーはヨガセラピストが患者さんに施す施術ではなく、本人ができるセルフケアを一緒に探し、練習する、自立支援の役割を担います。
問診ではなく傾聴、処方ではなく共に練習を行い、評価ではなくフィードバックによる個別化を心がけます。

【ヘルスコミュニケーション】
ヨガに馴染みのない方にもヨガの特徴を理解してもらうためにもサンスクリット語よりも、平易な日本語での説明を心がけます。

【エビデンスとその限界についての正しい理解】

現代医学がエビデンスに基づいて成立していることを認識し、ヨガに関する研究の課題と限界の理解に努めます。呼吸法のポスターなど医療現場で安全に導入しやすい提案から始め、ヨガを患者さんに安心して勧めていただけることを目指します。

目指すのはヨガの安全な活用の普及

ヨガが良いと断定することでは、ヨガをどう活用すれば安全に必要としている人に活用できるか、という視点で普及に取り組んでまいります。その方法を様々な状況で具体的に説明、実践できる人材を育成していきます。

ヨガセラピーの学びにおいて問われているのはどんなヨガを学んできたかではなく、自分が学んできたヨガをどのように医療や介護の現場でセラピーとして活用していくことができるかということです。

お医者様よりよくいただくアドバイスとして「医療の現場でヨガを活用していくには、ヨガのこだわりを犠牲にしなくてはいけないこともあるよ。その覚悟はありますか?」というものです。

私たち協会の趣意として、患者さんやご家族のことを第一に考える、ということがあります。そして、私たちは患者さん中心の持続可能なケアとしてのヨガを提案していきたいと考えています。ヨガは外国で生まれ、多様性の中育まれてきたものですが、その本質は命への尊厳であり、自他を大切にすることです。ヨガらしいと思われているこだわりを手放したときに、もしかしたらその本質が浮き彫りになるのではないかと考えています。

文責 岡部 朋子