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多発性硬化症の方へのメディカルヨガアプローチ

2018年02月26日 | 協会報告

【メディカルヨガ・ヨガの処方箋実践講座】

多発性硬化症の方にとって、原因が不明であること、ストレスが原因と考えられると言われること、そして治療法が限られていることは、メディカルヨガが書かれた米国も日本も同じであることを学びました。

体の動きが制約され、生活から自由が奪われ、不安とやりきれなさが募る中にヨガができること。

一つは、睡眠の改善と、深いリラクセーションです。
床に一旦座ったり寝たりすると、起きてくるのが大変です。
そこで、テーブルの上にヨガマットを引き、腰掛けから始まるポーズを取れるようにします。

ヨガセラピーで大切なことは、生徒さん(症状を抱えた方)にとって、何が辛いことなのか、何が不便なことなのか、何が難しいことなのか、を「教えてもらうこと」です。お互いに「言わずに察せよ」ということは現実的ではありません。
伝えること、伝えてもらうこと、を大切にできる力、が必要であるため、協会の認定講座でも「コミュニケーション・スキル」を履修科目の一つとしています。

多発性硬化症のアプローチを紹介くださっているのは、アイアンガーヨガのエリック・スモール先生ですが、やはり目の前の患者さんに現実的にできることとして、リストラティブヨガのアプローチを知っておいて欲しいと感じます。

がんや心臓病以上に、動ける-動けないに多様性のある疾病です。
動く提案と、休む提案をできること。
禁忌として、神経疾患全般にいえることですが、体温を上げすぎないこと(ホットヨガは負担が大きい)、一気に筋肉に力を入れるポーズは避ける、などがあります。

ストレスの緩和には、息を長く吐くこと、という実践もありますが
多発性硬化症(MS)の患者さんにとっての、ヨガのディープ・リラクセーションの側面を知っていただく機会をいただけたら、と思います。

講師:岡部 朋子

講師岡部の事例報告:
数年前、多発性硬化症の9歳の女の子と、お母様からヨガセラピーのプライベートレッスンのご依頼をいただいたことがありました。寝転んでソファに足を上げるポーズなど、親子でくつろげるリストラティブのポーズをご紹介しました。
しっかりリラックスできると「私はまだまだこれからいろんなことに挑戦したいから、休むと元気が湧いてくる」と言っていただけました。お母様が「娘と下の弟と、三人でできることが、家族団欒のかけがえのない時間になりました、病気と向き合うと、不本意にも色々ギスギスすることも少なくない中、ちょっと簡単にできること(仰向けでソファに足を乗せて手を繋ぐ)で緩めたり、おしゃべりする時間を作れることはありがたいとおっしゃってくださったのが嬉しかったです。

メディカルヨガ・ヨガの処方箋実践講座は4月より、御茶ノ水神田明神の門の前にあるスタジオ・リチュ様にて、月に2回ほどのペースで症例別に定期開催を続けてまいります。

テキストである「メディカルヨガ」のアプローチを中心に学びますが、参加者同士のディスカッションで、より実際の患者さんに提案できるのはどんなことなのか、ということを共有していきたいと思います。
ヨガセラピーにご興味のある方、ご家族や患者さんをサポートしたい方のご参加をお待ちいたしております。