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オンラインクラスにおける注意点

2020年08月24日 | 新着情報

緊急事態宣言が解除されてから数か月が経過し、少しずつ対面でのヨガクラスの開催が始まりましたが、まだまだオンラインクラスの需要も高いのが現状です。そこで今回はオンラインでヨガセラピーのクラスを開催するにあたり、配慮したいことをみなさんと共有できたらと思います。
まず前提として、安心安全が最優先されることは対面クラスでもオンラインクラスでも同じです。対面クラス以上に細やかな配慮が必要になる場合も多いため、オンラインクラスでは参加者の方にも安心安静な場を一緒につくるためのご協力をお願いしていく必要があります。

[個人情報に関連して]

・登録時に個人情報を得ている場合は使用目的と、その目的以外には使用しないことをお伝えする
→メールアドレスなどの個人情報を前もっていただき、そこに参加方法やパスワードをお送りしている場合があるかと思います。事前のやり取りの際と、実際にオンラインでお会いした際の両方で、個人情報の取り扱いについて簡単に触れておくと良いでしょう。

・画面にカメラ(スマートフォン含む)を向けないようにお伝えする自身が音楽を流したりする際にも、カメラ機能を持つ機器を画面に向けないように気をつける。同時にスクリーンショットや録音などもしないようにご協力いただき、希望がある場合には可能な範囲で個別に対応する旨をお伝えする。
→ 特に疾患別のクラスなどでは、病気のことを知られたくない方が参加されていることもあるため、他の参加者の画面にスマートフォンが映るだけで心配する方もいらっしゃいます。「自分で取り組むときにポーズを忘れてしまうから」「誘導音声がほしい」などの理由で撮影や録音を希望される方もいますが複数で開催しているクラスではご遠慮いただき、改めてできる範囲で個別にニーズに対応できるとよいでしょう。そのための録画データや音声データを作成しておくというのも一つの方法です。それらを動画配信サービスにあげたり、販売するなどの工夫もできます。

・表示される名前はニックネームでもよいことをお伝え(画面上での変更の仕方を説明)
→同様の理由で、不特定多数の場で名前を明かしたくないという方もいらっしゃいます。zoomなどでは参加ごとに登録時とは別の名前を表示することができますが、ご存じない方もいらっしゃるためお知らせするとよいでしょう。

・個人に呼びかけるときは、表示されている名前でお呼びすることをお約束する(参加者同士も含む)
→面識のある参加者が本名を提示していない場合は、その方の本名でお呼びしないように配慮します。参加者同士で面識がある場合も同様の配慮をいただけるよう、前もって周知します。

[臨機応変な対応について]

・クラス中、個人的にやりとりができるツールを保持しておく(メールやLINE、メッセンジャーなどでリアルタイムでやりとりできるもの。 対応者がいれば電話でもよい。zoomであれば個人とチャットをやりとりする方法を説明しておく、など)
→「みんなの前では言いにくいが今伝えたほうがよいこと」が参加者側からも講師側からも発生する可能性があります。システムに付属するサービスを上手に使用しながら対応できるとよいでしょう。実際には使用しない場合も多いですが、いざというときの対応方法がわかっていることは参加者の安心につながります。

・必要のない場面ではスピーカーをオフにしていただく
→呼吸法や瞑想・簡単な動きの際には他の参加者の音が聞こえない方が良いときもあります。一方ある程度負荷のかかる動きの場合には、スピーカーをオンにしてお互いに話せる状況を作ることで安全を確保できる場合もあります。雑音の入り具合やクラスの雰囲気など諸条件も考慮し、臨機応変に対応していただければと思います。

・いつでも休んでよいこと、いつでも退室してよいことをお伝えしておく
→体や心がしんどくなって1人で休みたくなった、参加してみたが思っていた感じと違った、などもあるかもしれません。クラス中に退室許可を求めるのは躊躇される方が多いと思いますので、前もって自由に退室していただいてよいことをお伝えしておきます。

・終了後にしばらく残る時間をつくる。そこでご意見や感想をいただいたり、個別にお話したりもできることをお伝えする。
→場合によっては勇気を出して参加したこの時間の中での経験を、心地よい感覚として記憶し次につなげていけるために、クラスの閉じ方はとても大切です。ブツっと切れてしまうオンラインだからこそ、いつもの生活に戻っていく参加者を見守り見送る姿勢を大切にしましょう。その時間に感想や意見などいただけることで、それがよりよいクラスを提供するためのヒントとなることもあります。一方ですぐ退室したい参加者もいらっしゃるため、抜けにくくならないようにクラスとしては一度しっかりと終了させて、退室許可を明確に出すことが必要です。また、なんとなくだらだらと続いてしまうことがないように、何分までと時間を区切り提示しておきましょう。

[安全のために]

・呼吸法や瞑想・簡単な動きの際に参加者が希望される場合には、画面をオフにしていただくという選択肢もあるが、基本的には画面はオンにしていただき参加者の状態を確認しながら開催できることが望ましい。
→顔色や呼吸の荒さ、体の震えなど観察材料があることは様々なリスクを回避することにつながります。運動の負荷の大きさと、画面をオフにしたいという相手の方の心の安全とのバランスを考えながら判断しましょう。

・クラスのはじめにそれぞれの参加者が画面に映る範囲を確認する。立位・座位・臥位それぞれで全身が映る位置を一緒に確認•調整し、クラス中状況に応じて移動していただいたり、カメラの角度を調整したりしてもらう。
→全身が映るためのカメラとの距離感やカメラの角度は、それぞれのポーズにより異なります。 前もってそれらを把握しておき必要に応じ立ち位置を誘導することで、安全のためにこちらが必要とする情報を得ることができます。

・ポーズを提示しながら画面上で参加者の状態を把握することは対面でそれを行う以上に難しいため、また参加者が画面を覗き込みながら複雑なポーズをとろうとすることは体を痛めるリスクを高めるため、口頭で分かりにくいポーズを行う場合は、先にポーズをお見せしてから改めて取り組んでいただくようにする
→対面の場合同様、こちらを確認しながら行おうとすると危険なポーズなどは特に注意を要します。

・ポーズ全体を見せるのか部分的に見せるのか、前から見せるのか後ろから見せるのか、どの位置に立つとどこが映るのかなどの画角も含めて、プログラムの構成を考える。パソコンなどズームアップ機能を持たない機器を使用の場合、機器に近づいたり離れたりする形となるため、音声ボリュームの変化に配慮する必要がある。可能ならイヤホン型マイクを使用することが望ましい。
→ヨガの知識を持つ撮影者やスイッチャーがいる場合にはこの限りではありませんが、現実には1人で全てをこなす方が多いのではないかと思われます。よい機材があることに越したことはないですが、まずはあるものを使用して工夫しながらクラスを開催できるとよいのではないでしょうか。


みなさん試行錯誤しながら、新しい生活様式に対応できるヨガクラスを開催すべく努力されていることと思います。配慮すべきことはいろいろありますが、お伝えする方法が増えるということは必要とする方にヨガが届きやすくなるということでもあります。ヨガセラピストとしても一生活人としても、工夫しながらこの時代を一緒に歩んでいきましょう。

(文責:松原昌代【看護師】)