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医療現場の実情を知るということ

2018年02月7日 | コラム

協会の事務局や公認コーチという立場を通じて日々、ヨガセラピーやメディカルヨガと関わりながら、遣り甲斐ある仕事に携わらせていただいてるご縁に深く感謝しています。
そんな中でいつも痛感させられるのは、ヨガで医療に参入していくということは、決して容易いことではないということです。
以前、循環器の某病院へ職員の方向けのメディカルヨガ入門講座で伺った時のこと。
迎えてくださったお医者様が、最後に病棟を見学して行ってくださいと私たちを案内してくださいました。
それは、ただの見学ではなく、ドクターからの深いメッセージなのだと思いました。
私たちの目の前でベッドに横たわる患者さんたちは、どの方もご高齢で、か細く、弱り、力なく、ただ絶望しているようでした。
このような方たちが、実際にヨガをできると思えますか?
そんなような意味合いのことを、言葉を選びながら仰っていたのだと思います。
現実は甘くないと。少なくとも私にはそう聞こえました。

大学へ6年通い、2年の研修医を経てやっと実践の場に出る医師。
かたや国家資格でもない200時間や500時間の学びで、ヨガインストラクター、セラピストを名乗れる私たちでは、医師をはじめ、看護師さんや理学療法士さんなどなど、医療者にどんなに敬意を払っても足りることはないと感じました。
普段、臨床の場にいることのない医療素人のヨガセラピストがいきなり病院に現れて
「ヨガでリラックスしましょう!ほら、患者さんのQOLが上がりましたね!」
などと、無知で軽はずみな言動をとったなら、それは大変無礼なことであり、医療側のヨガに対しての信頼を損ないかねないと思うのです。
せめて私たちに出来ることと言えば、医療現場においては救いたくても救えない命があり、医療者の方たちが胸を痛めているということ。
そのことを知り、その上で私たちに何か少しでもお手伝いできることがあるかもしれないと、敬意を払いつつ、謙虚な気持ちを忘れずに、病院内でヨガセラピーをお伝えすれば、医療者の方たちとの距離も少しずつ縮まっていくのではないでしょうか。
医療がいかに神聖なもので敬意を払うべきかということ。
そのために医療者の方々がどれだけの努力をされてきているのかということ。
これらをヨガセラピストは常に心に留めておくべきことだと思うのです。 

                                      ( 文責 石井及子 )

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