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ネオアジュバント療法中の乳がん患者における、倦怠感と生活の質(QOL)に対するヨガの効果のランダム化比較試験

2018年11月30日

A Randomized Study of Yoga for Fatigue and Quality of Life in Women with Breast Cancer Undergoing (Neo) Adjuvant Chemotherapy.
Jong MC, Boers I, Schouten van der Velden AP, Meij SV, Göker E, Timmer-Bonte ANJH, van Wietmarschen HA.
J Altern Complement Med. 2018 Sep/Oct;24(9-10):942-953. doi: 10.1089/acm.2018.0191.
PMID: 30247961 [PubMed – indexed for MEDLINE]

原文:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30247961

ネオアジュバント療法中の乳がん患者における、倦怠感と生活の質(QOL)に対するヨガの効果のランダム化比較試験

【 目的 】
化学療法を受けている乳がん女性を対象に、通常ケアのみを行う場合と、通常ケアにヨガを加えた場合との効果を比較することを目的とする。

【 研究デザイン 】
多施設における実際的なランダム化比較試験。

【 参加者 】
乳がんステージIからIIIの化学療法中の女性。

【 介入 】
Dru Yogaを週に1回、12週間行うグループ(N=47)と通常ケアのみを行うグループ(N=36)に無作為に分けて行った。

【 アウトカム評価指数 】
評価測定の指標として、倦怠感主要アウトカム (Multidimensional Fatigue Inventory [MFI]; 全身倦怠感)と倦怠感副次的アウトカム (MFI、Fatigue Quality List [FQL])、QOL (30-item Quality of Life Questionnaire-C of European Organization for Research and Treatment of Cancer [EORTC-QOL-C-30])と心理的苦痛 (Hospital Anxiety Depression Scale [HADS]、Impact of Events Scale [IES])が使用された。評価の時期は、介入前をベースライン(T0)とし、3ヶ月後(T1)、6ヶ月後(T2)に行われた。その他のアウトカムは、至適緩和、仕事への復帰、副作用であった。

【 結果 】
全身倦怠感は、T1での差異は認められなかった (MFI: ヨガ; 14.6±4.5 vs. 通常ケア; 14.2±4.2, p=0.987)。他の倦怠感についてのMFI、FOLやEORTCの測定結果もほぼ同様であった。EORTCの症状尺度に関しては、ヨガ群は通常ケア群に比べT2では吐き気や嘔吐の症状が少なかったものの (p=0.004)、T1では差がなかった (=0.807)。抑うつは、T1のヨガ群において有意に低かった(HADS: ヨガ; 4.7±4.1 vs. 通常ケア; 5.1±4.2, p=0.031)。T1では、ヨガ群においてより多くの患者に症状の緩和がみられ (ヨガ; 51% vs. 通常ケア; 19%)、T2には仕事に復帰した数にも差がみられた (ヨガ; 53% vs. 通常ケア; 23%)。ヨガ群には副作用は認めらなかた。

【 結論 】
Dru Yogaプログラムの介入は、倦怠感の緩和に有意な効果が示されなかった。吐き気、嘔吐、仕事への早期復帰について期待される効果については、更なる検証が必要である。

監修 : 埼玉医科大学総合医療センター ブレストケア科 矢形寛 教授  
翻訳 駒屋有紀(日本ヨガメディカル協会)

(注)以上はアブストラクト(要旨・抄録)の翻訳であり、原著論文の翻訳を経たものではありません。
また全ての研究には、研究の領域とその限界が存在します。