発作性心房細動患者へのヨガの効果
発作性心房細動患者へのヨガの効果 – ランダム化比較試験
抜粋
目的:心房細動患者の多くに生活の質(QOL)の低下が認められる。ヨガを実践することでストレスが低減し心身の健康につながる可能性がある。この研究は、ヨガの発作性心房細動(PAF)患者のQOLの改善と血圧および心拍数の低下に対する効果を調査することを目的とする。
方法:12週間にわたる本パイロット研究では、80人のPAF患者が標準治療のグループ(コントロール群、n=40)と標準治療とヨガを併用したグループ(ヨガ群、n=40)にランダム化された。
QOL、血圧および心拍数をベースライン時と試験終了時(12+(2)週間後)に評価した。
QOLの評価には、EuroQL-5D (E -5D)Visual Analogue Scale (VAS)とShort-Form Health Survey (SF-36)の2つの下位尺度のスコアが用いられた。
結果:ベースライン時、EQ-5D VAS scale (p=0.02)とSF-36心の健康尺度(p<0.001)においてコントロール群がより高いスコアを算出するという有意差が認められた。
試験終了時には、ヨガ群のSF-36心の健康尺度の平均スコア(p=0.016)がコントロール群のスコアに対し有意であったものの、EQ-5D VAS scaleと身体健康尺度に関して有意差は認められなかった。試験終了時、ヨガ群はコントロール群に対し、心拍数(p=0.024)、収縮期血圧(p=0.033)および拡張期血圧(p<0.001)とも有意に低下した。
結論:ゆっくりとした動きのヨガと深い呼吸がPAF患者のQOLの向上、血圧および心拍数の低下につながる可能性がある。ヨガは標準治療の補完療法となり得るであろう。
キーワード:発作性心房細動、ヨガ、QOL、血圧、心拍数
監修 : 多田 博子 先生 医療財団法人 栄悠会 あやせ循環器クリニック 所長
翻訳 : 駒屋有紀(日本ヨガメディカル協会)
(注)以上はアブストラクト(要旨・抄録)の翻訳であり、原著論文の翻訳を経たものではありません。
また全ての研究には、研究の領域とその限界が存在します。