医療とヨガセラピーヨガセラピー導入事例

HOME / 医療とヨガセラピー(ヨガセラピー導入事例) / 学校養護室から~学校の生徒、教師へのヨガ

学校養護室から~
学校の生徒、教師へのヨガ

「心もからだも健康な子どもが育っていけば、心もからだも健康な大人になっていく!
そうすれば社会全体も良くなっていくはず!」
学校保健室の養護教員keiko先生は、そんな思いを持ち学校の現場の生徒さんや先生方にヨガを伝える試みを行っています。これまでの勤務先での取り組みをご紹介しています。

養護室教諭生徒・教師へ

中学校での取り組みと成果
(平成27年度~29年)

導入のプロセス

学校の中で新しいことを始めるには時間がかかります。年間計画は前年度に決定するため、提案→検討→共通理解→実践→反省・再検討・・・と2~3年かけて少しずつ取り組み・改善を進めていきます。 特に最初は「ヨガ?瞑想?何かあやしい?」とおっしゃる方もいらっしゃいましたので、まずは理解してもらうところから始めようと、保健室に呼吸法やヨガのポーズ・運動の効果などの資料を掲示しました。
興味関心を持った生徒、職員に保健室で体感してもらうと、口コミで「私にも元気が出る体操を教えてほしい。」「腰痛もちなんでけど・・・」等と言って来室する生徒や先生が少しずつ増えていきました。

また導入時期は、いわゆる『子供ロコモ*1』が増えている現状からロコモ予防のための『運動器検診*2』がスタートした時期と重なりました。健診結果を受けて、職員も生徒も姿勢、ストレッチ指導の必要性を認識しやすい背景があり、最終的には学校全体で様々な機会にヨガを導入していく流れを作りやすくなりました。

*1 ロコモ

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の通称。
骨や関節、脊髄、筋肉、神経などの身体を支えたり動くための運動器の衰えにより歩行・立ち座りなどを行う機能に支障をきたしている状態

*2 運動器検診
子供ロコモが増えている現状を受けて、学校健康診断時に「脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無並びに四肢の状態」を検査すること。

室内に協会のヨガセラピーのカード等を掲示

保健室入口に深呼吸ポスターを掲示

具体的な取り組み

生徒への個別指導
  • 来室者や特別支援学級の生徒に『呼吸法』を紹介
  • テストや受験前に緊張を和らげ心身共にリラックスできる呼吸法や「やさしいヨガのポーズ」などを紹介
  • ケガの予防としてのストレッチ運動を紹介
  • 肩こりや身体の疲れ、目の疲れを訴える生徒に、簡単にできるストレッチヨガを紹介
教職員へのヨガの紹介、認知の拡大
  • 腰痛や肩こりなどを訴える職員や 様々な悩み相談で来室した職員にもヨガを紹介し、実際に『心地よさ』を体験・体感してもらった。
  • 保健体育部職員への紹介。
  • 一部の職員へのリフレッシュヨガの実施
学級、学校での取り組みへ
  • 運動部のキャプテンを対象に、ケガを防ぎパフォーマンス力を高めるための練習前後のストレッチヨガを行う。
  • テストや受験前に保健室で教えてもらったことをやってみたら緊張がほぐれた。
  • ロコモ予防も兼ねた姿勢指導・ストレッチ運動指導のひとつとして呼吸法や正しい姿勢・立ち方を含めたポーズを取り入れる
  • 体育の授業でもストレッチヨガを取り入れてもらう。

子どもたちの感想と変化

子どもたち、先生方の感想

  • 部活動でケガすることが少なくなった。
  • 教えてもらったポースをやっていたら、姿勢が良くなり身長も伸びた気がする。
  • すっきりして、落ち着いて学習できる。
  • 疲れが取れた。
  • 気持ちがいい。
  • 体調が良くなった。
  • イライラしなくなった。など

子どもたちに見られる変化

  • 部活動の練習前後の運動を見直し、ストレッチ運動やヨガのポーズを取り入れる部活動が少しずつ増加。
  • 生徒間で『パフォーマンス向上とケガの防止には ストレッチ運動やヨガを取り入れるのがよい』という会話が聞かれた。
    特に、部活動のキャプテンの意識の変化は大きく、練習前後のストレッチ運動について自分たちで考えたり、アドバイスを求めてきたりしていた。
  • 『この運動・このポーズは〇〇に効果がある』という会話をし始めた。
  • 鏡の前やお互いに姿勢のチェックをしていた。
  • 『ストレッチ運動』『ヨガ』『呼吸法』という言葉が、日常でも交わされるようになった。

変化を表すデータ

年間保健室利用者数の推移
(2017年度→2019年度)
27年度 28年度 29年度
3,025件 2,224件 1,936件
月別保健室利用者比較
(2018年度→2019年度)
  • 9月体育大会練習時や大会当日のケガ、持久走大会でのケガや体調不良者が、例年よりも少なかった。
  • 日頃の体育の授業における指導や部活動指導(練習前後のストレッチ運動)の成果ではないかと思われる。
スポーツ振興センター給付対象の災害
(2017年度→2019年度)
27年度 28年度 29年度
89件 75件 63件
昼休み別養護室利用状況
(2018年度→2019年度)
28年度 29年度
295件 245件
傷病別状況(昨年度との比較)
傷病名 28年度 29年度
骨折 28件 20件
捻挫 13件 11件
打撲 19件 10件
  • 明らかに大きな怪我が減少した。安全指導や運動前後のストレッチ等の予防対策の成果ではないかと思われる。
  • 毎年、廊下や階段を走ったり、追いかけっこ等による昼休みの怪我が非常に多く、来室が一番多い時間帯であるが、それでも1年前と比較して50件もの減少が見られた。
  • ストレッチ運動を取り入れてから、運動器検診の結果が少し改善されてきている。

現在、着任中の小学校での取り組み

H30年度から着任の小学校でも同様の取り組みを新たにスタートさせております。

個別指導
  • 児童が保健室に来訪した際は、呼吸法を一緒にやって気持ちを落ち着かせている。
  • すぐに「疲れた」「だるい」という児童に、リフレッシュして元気になれる簡単な動きを一緒に行う。
学級での指導・全校での取り組み
  • 体育の準備体操の中で、呼吸法や簡単なストレッチヨガを少し取り入れてもらう。
  • 「落ち着いた学校生活を送ろう」という学級活動の中で、呼吸法と「やさしいヨガのポーズ」を学級担任と一緒に指導。
  • 『チャイムが鳴ったら動きを止めて、良い姿勢で黙想をする』という取り組みの際に「ゆっくりと呼吸をして心を落ち着かせる」ことに注意して行ってもらう。

地域レベルへの広がり

現小学校では、全職員対象の研修でヨガを実施する機会に恵まれ、また、本校の職員から話を聞いた近隣の小学校より依頼を受け、市内の小学校2校からも研修の実施を行うなど、活動が地域レベルに広がり始めたことが、大きな成果の1つといえます。

小学生への指導時の注意点

小学生には『ヨガ』というより『体操』『ストレッチ運動』という表現の方が分かりやすく、親しみやすいと感じます。また、家庭や地域との連携を図っていく際にも取り組みやすいのではないかということで使用しています。地方では『ヨガ』に対するイメージがいろいろあるようなので、言葉にはこだわらず実践しています。

職員研修

協会より

子供達にとっては学校で経験するあらゆることが学びとなります。
子供のうちに健康的な生活を送るための実践力を高めておくことを重視する学校が増えていくことが、長い目で日本人の健康を支えていくことに繋がっていくことでしょう。
大切なのは、知識だけでなく、友人や先生方と共に体験し、身体の記憶として根付かせていくことだと考えると、養護教諭の先生がヨガを通じて担える役割は無限大の可能性を秘めているように思います。

事例一覧に戻る