家で実践できるヨガや瞑想が医療費の節約につながる(ハーバード大の研究)
ヨガや瞑想をすることで通院を減らすことができるという最近の研究がある。
ストレスに起因する健康問題は、医者にかかる理由の80%にものぼり、その医療費支出額は心疾患、がんに続き三番目に大きい。しかしながら、ストレスの軽減法を教えてくれる医者はわずか3%しかいない。
ヨガや瞑想のような精神と体の訓練法はリラックス反応を高め、コルチゾールなどのストレスホルモン値を下げ、その結果、身体のストレス反応を緩和するといわれている。ヨガは、心臓の健康状態の改善、うつ症状や不安の緩和など多くの健康上の利益をもたらす。
だが、その一方でこれらの療法の費用対効果については今まで証明されたことはなかった。
研究について
Dr. James E. Stahlとハーバード大学の研究チームは、マサチューセッツ総合病院のベンソン・ヘンリー心身医学研究所による心身リラクゼーションプログラムを調査した。8週間のプログラムでは瞑想法、ヨガ、マインドフルネス、認知行動スキル、ポジティブ心理学などの様々なアプローチが使われた。被験者はプログラムに参加するほか、自宅でも実践した。
参加者は、医療機関の利用が前年の43%に減少し、救急の利用だけでも一人あたり平均2,360ドルの医療費を節約することができた。これは、ヨガや瞑想法が年間一人あたり640ドルから25,500ドルもの医療費の節約につながることを意味している。
「健康になる方法はたくさんあるが、誰もが利用できるわけではない。このプログラムの強みは、様々な方法を駆使していろいろな人に提供できることである」と、現在ダートマスヒッチコックメディカルセンター一般内科課長のDr. Stahlは言う。
ヨガと瞑想の人気は高まる一方だが、保険は適用されるのだろうか?
およそアメリカ人の10人にひとりがヨガを練習し、ヨガをしたことがない成人でもその45%はヨガに興味があるといわれている。アメリカ人は他に代替健康療法として瞑想法(8%)や深呼吸(11%)を行っている。
多くの医療保障制度はヨガや瞑想を対象としないが、ヨガや太極拳を含むフィットネスプログラムに対しディスカウントを提供する保険もある。ワシントン州では個人向け健康保険会社は認可の補完医療サービスに対し補償を行うが、ほとんどの州はそうではない。しかし、状況は間もなく変わるだろう。
ヨガと瞑想のように、低コストで根拠に基づいた健康促進かつ病気予防となる療法を健康保険会社が補償することを推奨した記事がハーバードビジネスレビューに掲載された。
米国大手保険会社エトナでは、社のマインドフルネスプログラムに参加した社員の28%にストレスの軽減、20%に睡眠の質の改善、19%に痛みの軽減、また、社員一人あたり年間およそ3,000ドルに値する生産性の向上が認められた。エトナ社ではヨガと瞑想法のプログラムが社員に家で実践でき無料で提供されている。
「ヨガと瞑想についての生物学的な研究は多々あるが、経済的な視点からの研究は少ない。」Dr. Stahlはこの現実を変えようとしている。ヨガと瞑想法の健康効果と費用対効果のエビデンスがより多く是認されれば健康保険会社も興味を示すであろう。
「臨床医学において、副作用がなく有用性のあるツールがあるのであれば、それを使わない手はない。」とDr. Stahlは言う。
(翻訳・駒屋有紀)
下記の記事を翻訳したものです。
Marlynn Wei. (2016).
Yoga and meditation offer health care savings – and you can do them at home. Harvard Health Publishing. Retrieved from
https://www.health.harvard.edu/blog/yoga-and-meditation-offer-health-care-savings-and-you-can-do-them-at-home-201511188616