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ヨガセラピストの本棚 「フランス式「うつ」「ストレス」完全撃退法」

2017年01月12日

<フランス式「うつ」「ストレス」完全撃退法>

社会問題として深刻化する「ストレス」。
増加傾向にある「うつ病」「不安症」。
フランスは、うつ病患者が最も多い国であり、
その数はなんと日本の12倍だそうです。

フランスの精神科医、ダヴィド・S・シュレベールは、この本の冒頭で
「女性の患者が目の前で泣きだせば、間違いなく、抗うつ剤の処方箋をもらうことになる」と、書いています。
「医者の処方は、まるで条件反射のように一般化している。」と。
このような光景が、日本の医療現場にも多く見られるということは、
医療に携わる方、もしくは通院歴のある方は、良くご存知かと思います。

医学は1940年代に抗生剤の出現によって大きな変化を遂げました。
それまで致命的だった病気を克服できるようになったのです。
めざましい医療の発展のおかげで、私たちの平均寿命、健康寿命が延びたのは、紛れもない事実です。
がしかし、薬を飲むことで病気を治せるようになったその瞬間、医学の実践において、それまで重要視されていた、医者と患者の関係、栄養、患者の姿勢など…これらが疎かにされ始めたのも事実でしょう。

薬さえ飲んでいれば、うつ病は治るのでしょうか。不安神経症の苦しみから逃れられるのでしょうか。
残念ながら、抗うつ剤は抗生物質ほどの効果は出せていないようです。人の心は、薬でどうにかなるものではないのです。
それでも抗うつ剤を投与する医療現場が減らないのは何故でしょう。医療も市場原理で動いているのですから仕方のないことかもしれません。

では、増え続ける「うつ病」「不安症」を患った人々は、薬を飲む他に一体どのようなことをすれば、その症状を少しでも改善させることができるのでしょう。ずばりその様々な方法が、この本には書かれています。
・心臓脳システム
・心臓のコヒーレンシー
・眼球運動
・光のエネルギー
・鍼術
・オメガ3 などなど
人間の生理機能に対するアプローチで、斬新なものから、古く言い伝えられてきたものまで様々な方法が紹介されています。

そして、これら以外にも、こんなに単純なものも記されています。
・運動
・愛情
・感情のコミュニケーション
・周りを変えるのではなく自分が変わる
・他者との絆
・スキンシップ
・ペットを飼う。植物の世話をする。
・ボランティアをする
・瞑想と呼吸 などなど
これまで、科学的根拠のなかった「病は気から」とも言える、数値に置き換えることのできないような例が
様々な研究や動物実験などと共に紹介されています。

シュルベール氏は、本書の中で
サンフランシスコ大学の精神科医の言葉を借りて、こう言い切ります。
「”人間関係”は、どんな薬や外科手術にも劣らない現実的で決定的な治療法である」
そしてさらに深く掘り下げるのです。
非暴力、感謝の気持ち、他者との繋がりについて。
ヨガをしている方ならば、これらが深くヨガと関わりのある内容であることは
すでにお解りだと思います。

西洋医学の世界に身を置きつつも、自ら31歳で脳腫瘍を患い、克服と再発を繰り返した経験を持つシュルベール医師。
医師としての知識と癌患者としての経験が、このような視点を生み出したのかもしれません。
事務的に行われる投薬や外科的処置だけではなく、もっと基本的な事、人と人の繋がりを大切にする医療の在り方を模索すべき時代に差し掛かっているのではないでしょうか。

ヨガの要素が、未来の医療現場に役立つであろうこと、そしてヨガセラピー普及への道を作るセラピスト達の背中を押してくれることになるであろう、自信につながる必読の一冊です。

(石井及子)