HOME > なぜ医療現場にヨガなのか

ヨガはインド由来のものですが、
現代では健康に役立つ趣味として活用している人が増えてきています。

ヨガは禅や仏教、ヒンドゥ教の影響を受けていますが、
特定の宗教ではなく、身体的なエクササイズとして実践されているものです。

ヨガは健康な人はもちろん、病気の人にも役に立ちます。
無理をして行わない限り、薬との相互作用は原則としてありません。
緊張から弛緩への運動の流れや、呼吸法によって、
過度に優位になった交感神経から、副交感神経優位の状態を導き、
自律神経のバランスを取り戻していきます。

ヨガはリラクゼーションを重視している点で理学療法と異なります。
また、自分自身の呼吸に意識を向けるという点で、ストレッチや体操とも異なります。

道具を用いず、自分の体重を使った負荷が唯一の道具です。
エクササイズを継続することで自分の体重を支え、移動させる足腰や、
重みのある頭を支えるしっかりした背骨、背骨を維持する骨格筋の衰えを防ぎます。

そんな、呼吸療法、運動療法としての可能性だけではなく、
私たちの生活習慣を変えられる可能性もあるということについてはあまり知られていません。

ヨガがもたらすものの中には、
精神的に安定する、思いやりの気持ちが高まる、他人とうまくかかわることができるなど、
数値で表すことが不可能なものがたくさんあります。

また、ヨガの考え方では「する」ことだけではなく、「いる」ことを大切にします。
本来、人の心は、温かく、ぬくもりがあり、潤いもあり、包まれ、認められ、
ありのままを許されるという考え方です。

こうした考え方に基づいたメディカルヨガというものを通して、
相手に対して、耳を傾け、寄り添い、ともに「できること」を探していくなかで
「生きていてよかった」という気持ちや自己肯定感を取り戻していく例は多数見られます。
こういった内面の健やかさが呼び起こされる可能性を秘めている、という点は
ヨガセラピーが提供できる価値の一つです。

ヨガを医療現場で活用する目的は、個別の疾病や症状の改善そのものではなく、
これらの特性を活かし、患者さんが治療に対して前向きに取り組む気持ちを育むこと。
そして、呼吸や姿勢、運動量、内観などの程度を変化させ、
健康な方向に向かわせるための取り組みです。

では、本来のヨガのスタイルを医療の現場にそのまま持ち込めば、
現代の健康問題を全て解決できるのかといえばそういうことでもありません。
伝統的なヨガの手法の中には、普通の人には困難なものたくさんあります。
実はヨガセラピーやメディカルヨガとして、実際に臨床の現場で活用されているものは、
ヨガのよさを活かした簡単な手法なのです。

実際身体や呼吸の調整はとても平易な方法で行うことができます。
よく体が硬いとヨガができないと思っている方がいますが、それは全く関係なく
見かけ上のポーズの難易度と健康効果には相関がないのです。
「正しい姿勢で座って呼吸を整え、目の前で起こっていることを静かに観察する」
といった、むしろ簡単そうに見えることのほうが実際は難しく、
心身に与える健康効果は大きなものがあります。

呼吸が変われば、心も変わり、体も変わっていきます。
ヨガスタジオに足を運んだ人の多くが、気づきやリラックス、
笑顔を得てスタジオを後にする姿を、私たちは見てきました。
ヨガの最大の特徴、他の療法と異なる点は、
このような呼吸への意識を通じて得た気づき、笑顔、リラックスなのです。

それは、病気を抱えている人々にも間違いなく必要なものであり、
生活に笑顔とリラックス、信頼があるかどうかということは
治療や家庭での療養にも影響していくのではないでしょうか。

ヨガについての情報においては、
医学論文のデータベースにもこれまで発表された研究がたくさん蓄積されています。(※)
しかし、ヨガのよさを理解するためには、ご自身でやってみていただくのが一番です。

私どもは医療にヨガセラピーを取り入れることが患者様ご本人はもちろん、
ご家族様、関わる医療者の皆様にもプラスに働く効果が期待できると考えています。
実際にヨガを体験され、その良さを体感していただいた医療者やご家族、そして患者さまのひと言が、
新たな患者さまの背中を押してくださる。
それが、息さえできれば始められるヨガセラピーの普及につながると考えています。

※(参考)
厚生労働省「統合医療」に係る情報等発信推進事業
平成24-26年度厚生労働省科学研究費補助金「地域医療基盤開発推進研究事業」(研究代表者:岡孝和先生)によって作成されたヨガのエビデンスレポート(構造化抄録)集