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認定ヨガセラピストが誕生しました

2019年02月20日 | 新着情報

2016年に日本ヨガメディカル協会が発足しまして、翌年より協会認定ヨガセラピスト プログラムの講座を開始してきましたが、この度ついに、当協会初のヨガセラピストが誕生いたしました。

東久留米で看護師をされている土屋真由様。

認定ヨガセラピストベーシックプログラムの全科目と、ご自身が取り組んでこられたヨガセラピーについてのレポートを提出され、最終の確認面接を経て、この度、当協会で初めての認定ヨガセラピストとなられました。

去る2月16日、認定ヨガセラピストのブルーバッジと認定証の授与を行いました。

ヨガセラピストとしての抱負をお尋ねしたところ「ヨガセラピーが今後普及していったとしても、その本質は変わらないはずなので、初心を大切に、目の前の人を大切にし続けていきたい」とのお気持ちを話してくださいました。

土屋様の認定ヨガセラピストとしての活躍を祈念しております。

すでに必要単位を取得され、事例レポートの作成にとりかかられている方もいらっしゃいますが、協会では、これから認定ヨガセラピストを目指される方向けに認定ヨガセラピストプログラムに関する詳細ホームページの作成を進めております。お知らせまでもう少々お待ち頂ければと思います。

 

【 なぜ「資格」ではなく「認定」なのか 】について

当協会は「資格」ではなく「認定」という言葉を使用しています。

ヨガの資格は国家資格ではなく民間資格です。民間故に、一定の基準がなく、大抵のものが規定の時間数を学び最終試験を通ることで、誰もが取得できるものになっています。
一方「認定」とは、一定の実力や能力がある人材であると機関が認め、それを証明するものとなります。
当協会では、知識、技能だけでなく倫理にも重きをおいています。ヨガセラピストに必要とされる適性を、講座受講時の様子や、遅刻欠席などを含めたマナー、そして最終的なレポート内容も含めて「認定」とさせていただいております。よって、誰にでも「認定」を与えるのではなく、最低限の社会性、マナー、思いやりを欠いていないことも当協会の認定ヨガセラピストとして必要とされる要件となります。

協会で認められたヨガセラピストという意味を含めるため「資格」ではなく「認定」という言葉で表すことにしております。
ご理解をいただけるようですと幸いです。

開催報告 ~森田療法勉強会~

2019年02月18日 | 協会報告

2019.2.16 
東京慈恵会医科大学附属第三病院 院長であり、精神神経科の診療医長であり併設の専門病棟を有する森田療法センター長および森田療法学会の理事長を務められます 中村敬 先生にお越しいただき、森田療法勉強会を開催いたしました。

中村敬先生から森田療法のお話が聞けるということで、スタジオの椅子の数を上回る多くのご予約をいただき、当日は床にお座りいただく形で沢山の方にご参加いただきました。床に座る参加者の方々を気遣われた中村先生は、普段はお立ちになって講談されるのを、「上からお話するのは失礼なので」と着席され、
参加者の方々と目線を合わせてお話してくださいました。

森田療法とは、1919年(大正8年)に精神科医である森田正馬により創始された神経症に対する精神療法のことで、現在ではパニック障害や慢性化したうつ病、がんや心身症などにも応用されています。
その内容は、ヨガやマインドフルネスと大変共通点の多いことから、今回ヨガセラピスト向けに勉強会を開催する運びとなりました。

その共通の言葉は「あるがまま」「今ここ」。
100年前の日本には、既にヨガやマインドフルネスの概念が生まれていたのです。

中村先生は約100分にわたり、医療者ではない参加者にも解りやすく、神経症に対する治療法から、慢性うつ病の場合など、それぞれ症例を交えてお話くださいました。


中村先生のお話で、森田療法という精神療法を踏まえた上で、最後に私、協会の石井及子がパニック障害経験者として、発症から実際にそれを森田療法とヨガで克服するまでの経験談を発表させていただきました。

13年前、重度のパニック障害を患っていた私が、このように森田療法学会理事長の前で、その当時の経験談をお話をさせていただく日が来るとは、夢にも思っていませんでした。大変光栄な場を与えていただけたこと、ご縁に深く感謝いたします。

遠方からお越しいただいた方もいらっしゃいました。
残念なことに当日、諸事情によりお越しいただけなかった方も数名いらっしゃいました。
最後に皆さんで記念に1枚。

今年100周年を迎える「森田療法」「モリタセラピー」。発祥の地や時代はそれぞれでも、ヨガもマインドフルネスも根底に流れるテーマは同じなのかもしれません。
日本には、こんなにも優れた心理療法があるということを、もっと沢山のセラピストに知っていただきたいと思います。      (石井 及子)

病院での乳がんヨガを取り入れることについて 

2019年02月12日 | 協会報告


「2018年ヨガセラピーの普及への多大なる貢献」として感謝状を贈らせていただきました、川口貴枝 先生より、ご寄稿いただきましたのでご紹介いたします。

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昨年2月、埼玉県内の病院から乳がんヨガ指導者養成講座開催のご依頼がありました。

 
これまでにも医療従事者の方には個人としてご受講いただいたことはありましたが、今回は「病院のチーム」として乳腺腫瘍科に勤めていらっしゃる医師、看護師、社会福祉士、と参加者が全員医療従事者です。 

乳がんヨガを乳腺腫瘍科チームに提案をして下さった看護師さんは、以前ご自身がヨガをされていた時に身体がリフレッシュされた感覚や自分を見つめ直す事ができた体験から、ヨガが患者さんに何か役に立てるのではないか?と思いついたそうです。 


医療の知識はあっても、ヨガの知識はほとんどない。 初の病院開催での乳がん指導者養成講座は参加者の大半がヨガは初めてという方ばかりでした。 そういった方々にヨガをどのようににお伝えし、そして医療の現場に取り入れてもらえるか? とても考えました。 

ヨガがもつ深いメッセージをお伝えするには、6時間の講座では決して足りませんが、まずはヨガ=ポーズではないことと、誰でもできること、それは何故か、そしてセラピーとしても患者様へ寄り添うことができるものだという事をお伝えしたいと思っていました。

 
それでもヨガの敷居は高く感じられているのが事実です。こればかりはヨガを体験してみないと分からないことも多くあります。特に医療現場ではエビデンスがとても重視されています。患者様へどのような効果があるのか、またどのように安全に行えるのかなど、医療の現場へヨガを持ち込むことは、ヨガをほとんどされたことがない方にとって 、ハードルが高く感じるかもしれません。 実際、養成講座に参加された医療従事者の方からは「ヨガを教える自信がありません」というお声が多かったのです。

 
そういった事もあり、養成講座開催終了後から暫くして、まずは私が病院で乳がん患者様向けのヨガクラスを担当することになりました。

医療従事者の皆様には毎回一緒にクラスにご参加頂き、ヨガのレッスンを通してご自身の体感なども実感して頂きました。

それに加え、クラスつくりのポイントや注意点などのフィードバックもしていき、皆さんと一緒にクラスの作り方を数か月間お勉強をしてきました。

レッスンでは毎回患者様からアンケートも頂き、ヨガが患者様にどのような効果があるのか、またヨガをした後のご感想などを頂き、心と体の変化のチェックもしてきました。

ご感想はいつも嬉しいお言葉ばかりでした。 

「スッキリした」「毎月この時間がとても楽しみです」「気持ちがらくになりました」など。 また、ご近所や職場などで自分の病状について語れない方にとっては、乳がんヨガクラスは日常から少し離れることができ、自分を見つめる時間になる方もいらっしゃいます。 

クラスは回を増すごとに人が増えていきます。 病院ではエビデンスが重要ですが、ある看護師さんが「この感想と参加人数が全てを語ってますね。」と仰っていました。  


そして、ついに看護師さんがレッスンを開催する日がやってきました! 日々のハードワークの後に練習を重ね、この日の為にとても一生懸命にヨガのお勉強をして頂きました。 

「自信がない」というお声もありましたが、開催してみれば【看護師さんが教えてくれるヨガ】というだけでも患者様のお顔がぱーっと明るくなるのが分かります。 参加者の皆さん、とても嬉しそうなお顔です。

いつも優しく寄り添ってくださる看護師さんがヨガも指導をしてくれる。 こんな安心感は正直なところ、いくらプロのヨガインストラクターでも得られるものではありません。レッスンを拝見していて病院でのヨガは心と体の安全を確保してくれる安全地帯のような感じがありました。

 術後の傷の痛みや、お薬の副作用など、誰よりも理解をしてくださる方がそばにいてくれる安堵感。そういった中で自分の力で体を動かし、呼吸をいつもより丁寧にしてみる。

それだけでもクラスの後は皆さんいきいきとしています。そういった所を拝見し「病院は病気を治してくれる場所」というイメージから「病院は自分で立ちあがる力も教えてくれる場所」になりつつあるのだな、と感じました。

 
これからも病院でのヨガが発展していきますように、心より願っております。

文責
BCY Institute Japan
川口 貴枝

開催報告~2019.1.6シニアヨガ指導者養成講座~

2019年02月8日 | 協会報告

開催報告  2019年1月6日
ヨガメディカル協会  シニアヨガ指導者養成講座

松の内にもかかわらず、日本各地からのご参加を頂きました。
ここのところ参加者様の受講の動機(ご職業?)に変化がみられます。
以前は、ヨガインストラクターの方が殆どでしたが、今はデイサービスなど介護に携わる方、病院関係の方、
また、シニアヨガで地域を活性化させたい!方など、多岐にわたり《シニアヨガ》の広がりを感じ、大変嬉しく思います。

講座は参加者からのお声でどんどん深まっていきます。
「お声掛けしてよいのか?悪いのか?わからない(特に男性)方がいらして、どうしたらよいですか?」
「私達は何気なく使っている言葉も、シニアの方にはどうなんでしょうか?」など、人生の大先輩とご一緒する際の言葉の選び方は大切です。

最後は、サンプルクラス。
皆さんが先生で、皆さんがシニアの生徒さん役です。
「シニアあるある」に皆さん「なるほど!」「えーっそうなんですかぁ?」「あります!あります(笑)」など、驚いたり戸惑ったりしながらも、しっかり学びを生かしてサポートしてくれました。

シニアヨガ指導者は、高齢者の方々が心地よく、気持ちよく、心と体を動かすお手伝いを致します。
これからも日本の各地でシニアヨガが   高齢者様の『キョウヨウとキョウイク』になることを望みます。

( シニアヨガ指導者養成講座講師 伊藤典子)

【報告】パーキンソン病とヨガ勉強会

2019年02月6日 | 協会報告

2月2日、東京慈恵会医科大学 内科学講座 神経内科 助教
葛飾医療センター 神経内科 余郷 麻希子先生 と、Studio Full Moon の望月聡子先生をお招きし、パーキンソン病とヨガの勉強会を行いました。

パーキンソン病について、余郷先生から説明をいただきました。

運動の微調整を行う脳の部位の機能が低下する原因不明の難病ですが、薬が効きやすいのと、早期発見できればリハビリの有効性が高いと言われています。

バランスの改善や、筋力・可動域のアップはQOLの向上につながると言われ、これまでも太極拳や、アルゼンチンタンゴの有効性が研究されてきています。

介護保険を使って、デイサービスに行くという選択肢もある中、それに抵抗がある若年性パーキンソン病の方もいるとのこと、やはり多いのは、病院の中でリハビリがてら何かできたらいい、という声だとのことでした。

8年間、パーキンソン病の患者さん向けのクラスを続けてこられた望月聡子さんから、実際のクラスの様子や患者さんに対して気をつけていることを教えていただきました。

患者さんに接するときに一番大切にされていることは「聴く」ということだという望月先生、その方の今日の状態をお尋ねしながらも、プログラムの内容は変えないとのことです。変えないことで、患者さんが今日の調子を自ら気づくことを狙いとしています。

先生曰く、飴と鞭を使い分けています、とのことでしたが、先生のところに行くと元気になる、と今でも患者さん向けのクラスはなくてはならないものになっているようでした。

パーキンソン病の患者さんの運動リスクは、起立性低血圧、急な方向転換ができないこと、バランスを取るのが難しいこと、転倒などがあります。

起立性低血圧に関しては、寝た状態から立ち上がるときに、手足の筋肉を動かし、血流を起こしてから起き上がることでかなり症状を緩和できるとのことでした。特に足の筋肉は大きいので、動かすことで静脈の血流が上昇します。

では、実際の患者さんが具体的にどのようなことができ、どのようなことに難しさを感じるのかを、運動強度が著しく低いマインドフルネスヨガセラピーのプログラムで体験してみました。

やはりポーズの中には、転倒の危険などがあるものもありましたが、それをどのようにアレンジしたら良いだろうか、という議論が大変参考になりました。例えば、マットの上を歩く瞑想では、歩幅が小さいままであることと、方向転換の難しさから、できるだけ広い場所で方向転換をしなくて良いようにし、、歩幅の目印になるような床へのテープなどを貼って行う方が良いだろう、という意見が出ました。

また、手足の感覚がなくなる患者さんを、望月先生はあえて触って差し上げるとのことでした。ヨガセラピーでは、必要ない限りハンド・アジャストは行わない、触るときは配慮をした上で、という安全対策がある一方で、アルゼンチンタンゴが良いと言われるのも、触れ合いがあるからだ、ということを知り、つくづくヨガセラピーはケースバイケースだということを実感しました。

海外では、パーキンソン病や多発性硬化症の患者さん向けのヨガの指導書が販売されています。異なるコンディションに応じたポーズのバリエーションがイラスト入りでわかりやすく解説されています。

今回の勉強会を通じ、特定のプログラムが全てのパーキンソン病の方に当てはまる、というものがあるのではなく、余郷先生が冒頭のプレゼンテーションでおっしゃっていた、患者さんに寄り添える専門的な指導者を育成する、ということに尽きると感じました。

協会では、パーキンソン病の方のリスクに配慮したプログラムを作成し、それを患者さんに対し最適化して指導していける人材の育成に取り組んでいきたいと考えています。そのためにも、パーキンソン病という病気を理解することはとても重要であり、大変勉強になりました。

(文責:岡部 朋子)