医療関係者の方へ臨床情報

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臨床事例について

アメリカをはじめ、海外での医療を補完しようという動きに伴い、ヨガセラピーの本格活用と共に、エビデンスの集積が行われています。
下記サイトにて日本および海外でのヨガの医学的論文や臨床研究の一部を御覧いただけます。

日本語のエビデンス掲載サイト

「統合医療」情報発信サイト
平成24-26年度厚生労働省科学研究費補助金「地域医療基盤開発推進研究事業」(研究代表者:岡孝和)によって作成されたヨガのエビデンスレポート(構造化抄録)集
http://www.ejim.ncgg.go.jp/doc/doc_e03.html
岡孝和医師によるヨガと臨床の総合情報
当協会メディカルサポーターである岡孝和医師(国際医療福祉大学 医学部心療内科学主任教授 および国際医療福祉大学病院 心療内科部長)によるヨガと臨床の総合情報
http://okat.web.fc2.com/page02_04.html

海外のエビデンス掲載サイト

アメリカ国立補完統合衛生センター (NCCIH)
Yoga: What You Need To Know
Yoga: Clinical Digest
Yoga & Wellness

エビデンスに関する見解

医師のお立場から補完医療としてのヨガを推奨されている協会理事の新見正則先生のエビデンスに関する見解を紹介させていただきます。

新見正則先生
些細なことの積み重ねも大切~エビデンスがあることだけを行っても人は長生きしないから~
日本ヨガメディカル協会理事、新見正則医院院長新見 正則
英国オックスフォード大学医学博士、元帝京大学医学部外科准教授
帝京大学医学部博士課程指導教授(移植免疫学、東洋医学)、イグノーベル医学賞(脳と免疫)

医療界ではエビデンスが重視されます。エビデンスとは明らかに差があることを語る裏付けです(有効性の多寡とは無関係です)。明らかにエビデンスがあると言えるのは、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験(RCT)です。そして、目標は長生きでしょうから、エンドポイントは生存率となるのが最良の研究です。

ヨガの医学的英文論文は7000件以上あります(PubmedでYogaと入力)。そしてランダム化された臨床研究も実は900件近くあります(PubmedでYoga&RCTと入力)。しかし、1000例規模のものは少なく、観察期間も長くて数ヶ月で、エンドポイントも生存率ではありません。ですから、本当に体に良いのかは不明なのです。ヨガで何かが起こっていることは証明できますが、本当に生存率に繋がるかは不明です。

しかし、私たちはヨガを勧めています。ヨガを好きな人に、ヨガに興味がある人に勧めているのです。それはエビデンスがあることよりも、副作用などの不利益がほぼないからです。病気のこと、医療のことを知っているヨガのインストラクターだからこそ、体に不利益がないヨガを実践できるのです。そんな特別な技能をもったヨガのインストラクターの集まりが日本ヨガメディカル協会です。そして病気の人用のヨガ、病気にならないためのヨガの実践者の養成も行っています。

医療ではエビデンスレベルが高いことを優先的に選択枝に加えるべきです。エビデンスレベルの最上位(レベル1)は1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。次が少数例のランダム化された臨床試験です(レベル2)。そしてレベル3はランダム化されていない臨床試験、レベル4は症例報告、そしてレベル5は動物実験となります。

ヨガにはレベル2のランダム化された臨床試験は900件近くありますが、前年ながらエンドポイントが生存率ではありません。ですから、ヨガでは確かに何かが起こっていることは証明できていますが、それが本当に生存率に影響を与えているかは推測の域を超えません。しかし、それで十分だと思っています。

医薬品に、手術に、放射線治療にレベル1のエビデンスレベルが要求されることは当然です。それは副作用を含めて不利益が多いからです。不利益がほぼないものは、推測の域のエビデンスレベル十分です。まずトライして、そして気に入れば続ければいいのです。

エビデンス至上主義の医師を僕は直観で嫌いです。なぜなら、エビデンスがあることだけを行っても人は長生きしませんし、幸せにはなりません。エビデンスレベルが低くても良さそうなことを複数組み合わせることでも差が出るのです。そんなことを僕は些細なことと呼んでいます。そんな些細なことのひとつがヨガです。そしてバランスの良い食生活、規則正しい生活、十分な睡眠時間、ストレスが少ない生活、適度な運動、適切な日光浴などの積み重ねで健康に生きれるのだと思っています。

そんなヨガを是非とも皆さんの健康維持に、病気のサポートに使ってください。疑うよりもまずトライです。気に入ったら続ければよし、気に入らなければいつ止めてもいいのです。できる限り体に良いことを積み重ねましょう。