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精神疾患を有する入院患者を対象とした椅子ヨガ療法による体力への影響

2018年06月6日

Effects of chair yoga therapy on physical fitness in patients with psychiatric disorders: A 12-week single-blind randomized controlled trial.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28750232/

慶應義塾大学大学院医学研究科
猪飼紗恵子 氏

以下、日本語論文要旨は慶應義塾大学学術情報レポジトリより抜粋
より抜粋

本研究では、入院中の慢性期精神疾患患者を対象に、椅子ヨガ療法の体力への効果に ついて検証を行った。今回、週2回(20分/回)の12週間(計24回)の椅子ヨガ療法によ り、柔軟性(座位前屈位)、上下肢筋力、転倒恐怖心、QOL(Quality of life)の改善を 得ることが判明した。さらに椅子ヨガ療法で得られた改善項目は、介入終了後の6週後評 価にて持続することも示された。
審査では、本研究で使用した重心動揺が真の転倒指標となりうるのかを問われた。 我々の先行研究で抗精神病薬内服中患者に重心動揺の悪化を認め、検証を重ねていた。 さらに転倒の把握には数年以上の経過を追う必要があり、現実的な評価ではなかったた め、重度精神疾患患者において重心動揺の使用が適切であったと回答された。また筋力 の測定で大腿四頭筋ではなく下肢屈曲位を測定した理由について問われた。本研究を行 う前に入院患者で様々な下肢筋力の測定を行ったところ、最も安定した数値を得たため 屈曲位を用いたと回答された。さらに精神疾患における転倒恐怖心の尺度の信頼性、妥 当性について問われた。本研究で使用した尺度は、高齢健常者を対象に信頼性、妥当性 について検証されていたが、重度精神疾患では未検証のため、本研究の限界点であると 回答された。そして介入における実際の転倒頻度について問われた。介入期間中におい て転倒の発生はなかったが、介入前1年間における転倒の評価で、3名に転倒が発生して いたと回答された。さらに片足起立を評価に加えなかった理由を問われた。本研究の参 加者は、錐体外路症状を有し幻覚妄想状態も重度であり、安全性の確保が難しいため、 より簡便なものを評価として加えたと回答された。続いて、ヨガはなぜ柔軟性を高める のかと問われた。ヨガの一連の流れに、呼吸に合わせて全身を使用したポーズを含むた め柔軟性への作用を得た可能性があると回答された。またどのポーズに効果があるかと 問われた。ヨガは瞑想、呼吸法、ポーズが一体となっており、各々の検証はできていな いため今後の課題となると回答された。さらに骨強度については椅子ヨガ療法では不足 しているのではないかと問われた。座位でのヨガ療法のため、骨強度の程度は低く、本 介入の限界点であると回答された。最後に先行研究の8週間介入と本研究の12週間介入の 違いを問われた。いずれも総合介入時間は480分と実臨床で実施可能な方法であるが、8 週間介入よりも簡便で強度が低い椅子ヨガ療法において、24回と実施頻度を増やした12 週間介入で、持続可能な効果を得ることを示せたと回答された。
以上、本研究には今後も検証すべき課題が残されているものの、精神疾患において12 週間の椅子ヨガ療法が持続可能な体力増進に寄与し、重度精神疾患患者における転倒予 防介入としての可能性も示したものであり、臨床的に有意義な研究であると評価された。

(注)以上はアブストラクト(要旨・抄録)の翻訳であり、原著論文の翻訳を経たものではありません。
また全ての研究には、研究の領域とその限界が存在します。