HOME > メディカルヨガ情報 > 【推奨書籍(ヨガセラピストの本棚)】の記事
【推奨書籍(ヨガセラピストの本棚)】の記事

ヨガセラピストの本棚:メディカルヨガ ヨガの処方箋(バベルプレス)

2017年06月9日

昨今よく耳にする「健康寿命」というこの言葉。平均寿命が延びつつある現在、注目されるは「いつまで健康上に問題のない状態で日常生活を送ることができるのか」という意味の「健康寿命」です。

H29年より「セルフメディケーション税制」も導入され、政府は自主的な健康の維持増進及び疾病の予防への取り組みを推奨しています。

ヨガなどの適度な運動が、健康促進に良いということはすでに常識となっています。

一家に1冊は医学書があったように、「ヨガの処方箋」なる本が手元にあればどんなに心強いでしょう。

「Yoga Journal」米国版の医療編集者を務め、ヨガ・インス トラクターであり、また内科専門医でもあるティモシー・マッコール氏は、癌や糖尿病、うつ病など、 現代人を悩ます20の症例へのヨガの講師陣20名による、症状改善のための実用書「YOGA AS MEDICINE」を作りました。
そして、その日本語訳版が「メディカルヨガ ヨガの処方箋」です。

健康美、肉体的鍛錬、精神性を謳うヨガから一歩引いた、ただただ健やかに暮らしたいという一般的な人々のための実用書となっています。
当てはまる症例のページを開けば、専門的、医学的観点からのワンポイントアドバイスや科学的根拠、そして禁忌についても詳しく記されており、ポーズは写真と共に解りやすく説明されています。

「病気の人も、衰弱した人も、老いも若きも、たとえかなりの高齢者でも、地道にヨガを続ければ、確実に効果は現れるでしょう。」

~ハタ・ヨガ・プラディーピカ~に書かれたスヴァトマラーマの言葉で第一章が始まるこの本。

ヨガはインスタントなメソッドではなく、継続することでゆっくり長く効く薬だということを伝えてくれています。頓服薬ではなく、内服薬のようにこの処方箋を、長くお使いいただくことを願います。

【 症例別ヨガの処方箋 掲載内容 】

1. 不安とパニック症候群
2.  関節炎
3.  喘息
4.  背中の痛み
5.  癌
6.   手根管症候群
7.   慢性疲労症候群
8.   鬱
9. 糖尿病
10.繊維筋痛症
11.頭痛
12.心疾患
13.高血圧
14.先天性遺伝症候群
15.不妊症
16.不眠症
17.過敏性腸症候群
18.更年期障害
19.神経多発性硬化症
20.肥満

※監修は当協会代表理事の岡部朋子です。

文責:石井及子

ヨガセラピストの本棚:自律神経どこでもリセット ずぼらヨガ / 崎田ミナさん

2017年05月17日

ヨガをやる方の中には、このような方も少なくないのではないでしょうか。
「もともとは運動が嫌い、スポーツ苦手、体は硬かった。」
「仕事に追われて不健康そのものの生活を強いられていた」
「ヨガを始める前は、あっちもこっちも調子が悪いものだから、不摂生の悪循環に陥っていた。」
などなど。

このような方がひとたびヨガに触れると、「あれ?なんだか調子良いかも?」から
「やっぱり調子良い」になり「すっかりヨガの虜」となって行くようです。
かくいう私もその一人。
そして「ずぼらヨガ」の著者であるイラストレーターの崎田ミナさんも
この本の中でご自身のことを「ずぼらで運動嫌い」と公言してらっしゃいます。

「ヨガ」というと健康美やスマートで洗練されたイメージを持たれがちですが
本来ヨガとは、もっと身近で楽ちんで生活に密接したものでもあるのです。
そしてそれは「ずぼら」でもできると崎田さんはおっしゃいます。
ヨガスタジオに足を運ばなくとも
オフィスの椅子で、自宅の部屋で、寝る前の寝具の上で、トイレの便器に座りながらだって、それは立派なヨガであると伝えてくださいます。

イラストとエッセイを交えながら、
テーマ別にヨガのポーズを詳しく紹介してあるこの本は、ヨガ初心者の方にはもちろん、ヨガをお伝えするセラピストにとっても大変読み応えのある本となっています。
解剖学、生理学的観点からの解説がわかりやすいのはもちろんのこと、何よりも「ずぼらでもできる」とのメッセージは、ヨガの八支則「ヤマ」の「アヒンサー(非暴力)」に値するのではないでしょうか。

楽になる術である「ヨガ」は、あるがままの自分を許し、受け入れ、慈しむことから始まります。自己肯定感を育むプロセスを大切にするヨガはきっと、崎田さんが本書に書かれたような「いつでもどこでもやりたいときにできる」ヨガなのではと気づかせてくれるのです。

「ずぼらヨガ」の「ずぼら」はネガティヴでも自虐的でもなく、
自分のあるがままを容認できたというポジティブな「ずぼら」なのだと感じます。
そしてそのことは、ヨガセラピストがヨガをお伝えしていく上で、とても重要なテーマになるのではないでしょうか。
是非、ご一読ください。

文責:石井及子

ヨガセラピストの本棚: みんなのZEN (BRUTUS /マガジンハウス)

2017年04月17日

「「ヨガ」と「禅」の違いって何ですか?」
もしもこんな質問をされたら、皆さんは何と答えますか?

日本人の私たちには、さほど違和感もなく昔から知っているような気がする「禅」の世界。
でも実際に、「禅とは何?」と問われると、答えらえる人はほとんどいないのではないでしょうか。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズが「禅」を実践していたという話は有名な話ですね。
ジャズピアニストのビル・エヴァンスも「禅」に深く傾倒していたと言います。
映画監督のジョージ・ルーカスに至っては、禅の世界を映画に投影しています。
あの有名な映画「スター・ウォーズ」シリーズです。
マスター・ヨーダはかなりの禅の達人と思われます。

数年前から海外で静かなブームとなり注目を浴び続けている「禅」。
その「禅」が雑誌「BRUTUS」で特集されました。
タイトルはずばり「みんなの禅」

最近よく耳にする「禅」というものを実際にやってみましたよというレポから始まり
「禅」と「マインドフルネス」の境界線について語られていたり
デザインに見る「禅」や身近にある「禅」について触れてみたり
さらには禅そのものの歴史を掘り下げてみたり、アメリカの「禅」のことも書かれています。

ヨガが日常にちりばめられているように、「禅」もまた、日常であり哲学であり心の在り方であり生き様そのものなのです。
ヨガ、禅、瞑想、メディテーション、マインドフルネス
茶道、華道、武道、太極拳
ウォーキング、整理整頓、料理、編み物、サーフィンなどなど…。
自分にとって、それがイライラ、ザワザワ、モヤモヤをひとやすみさせてくれるなら、
なんでも「禅」になるのです。全てが「ヨガ」になるのです。

私事ではありますが・・・、幼少期によく見ていたテレビ漫画「一休さん」のお約束のあのセリフ。
子供の頃は何の気なく真似て言ったりしていましたが、今思えば大変深い言葉だったんですね。
大人になった今、私の座右の銘でもあります。
「あわてないあわてない。ひとやすみひとやすみ。」
脳を休めること、思考を止めることが、どれだけ心の安定を生み、素晴らしい閃きに繋がるのか。
身を以て知るのに40年かかりました。
ちなみにアニメ「一休さん」についても、こちらの雑誌には書かれています。

ヨガセラピストとして知っておくべき「禅」の世界。
是非、ご一読ください。

(文責:石井及子)

ヨガセラピストの本棚:感じてわかる!セラピストのための解剖生理

2017年04月10日

「感じてわかる!セラピストのための解剖生理」 野見山文宏 先生

 ヨガセラピストにとって欠かせない学びの中に「解剖学」「生理学」があります。恐らく皆さんも、その類の専門的な本をいくつか持ってらっしゃることでしょう。TTなどの教科書として購入したものだったり、そしてそれにはかつて理科室で見たような骨格模型そのものが載っていたりする。起始や停止、屈曲に伸展、その専門書を丸暗記しては、ヨガのポーズのその皮膚の下でなんという筋肉がどんな動きをしているのか、透かして見えるくらい学ばれたかと思います。

 でも、筋肉のことや呼吸の仕組みを覚えたとしても、実際に目の前のクライアントさんが「足が痺れるんです」とおっしゃった場合、皆さんは対処できるでしょうか。足の筋肉は…ハムストリングと腓腹筋だから、そこを伸ばして血行を良くしたらいいのかしら。なんて思いがちかもしれません。でも、実はその原因が他の部位で起きている可能性も少なくないのです。
 こんな時、野見山文宏先生は「ズームアウト」の必要性を説かれます。一歩引いて、全体を見渡すとその原因が見えてくる。足の痺れは、お尻の筋肉が関係していたなどなど…。

 そしてまた、野見山先生は「ズームイン」の大切さも教えてくださいます。自分の体を良く知ること、腕とはどこから始まっているのか、足はどこからが足なのか。認知を改め、意識を正しく塗り替えることで体の使い方が変わるとおっしゃいます。
引いたり寄ったりしながら、野見山先生は身体全体の解釈を、身近な日常よく目にするものに例えたり、自然に例えたり、壮大な宇宙に例えたりと、様々な視野を持って解りやすく伝えてくださいます。

  鍼灸師でありヨギーであり現代医学と東洋医学の両方の知識をお持ちの先生は、この本についてご自身でこう記されています。「この本では、私たちが感じている ”心や魂を併せ持ち、変化し続けている存在としてのカラダ” を解き明かす為に、解剖生理という一方向からの視点だけでなく、CTスキャンのように心理学やシステム論や東洋医学・さらにはそれらの主体的体験など、多方面からの視点でカラダを見つつ、それを同じ文脈で統合することを試みています。」
そしてその内容はとても実用的で、実際に生徒さんにお伝えしやすく必要とされるものばかりです。

 実をいうと、この記事を書いています私自身が、この本で得た知識で沢山のクライアントさんたちに楽になっていただけました。様々なところで学び続けてきましたが、今使っている知識のほとんどが、6年ほど前に買ったこの本から得たものなのです。
野見山先生のワークショップは「感じてわかる!!解剖生理」と言います。
それはこの1冊を読めば誰もが十分に納得するはずです。

 クライアントさんの身体の悩みを楽にしてあげたいという方、そしてまだこの本を読んだことのないセラピストの方がいらっしゃるなら、すぐにでも読まれることをお勧めします。身体の理解が深まることで、私たちセラピスト側のインストラクションにも一層深みが増すことでしょう。

(文責:石井及子)

ヨガセラピストの本棚:Principles and Practice of Yoga in Health Care

2017年04月4日

インドで生まれアメリカで開花し、一時的なブームからもはやアメリカでは文化として認められつつあるヨガは医療費の増加に悩むアメリカ国民の健康状態の改善に著しく貢献できる可能性を秘めた統合医療の一手法として新たな期待を集めています。

本書は最新のヨガの臨床研究事例や、経験豊富なヨガ指導者によるケーススタディを理路整然と展開し、一方でヨガを治療計画の一環として導入するために必要な知識、実践方法を統合的に編集してます。多くの専門用語、科学用語が使用されているものの、ヨガの愛好家から医療関係者まで幅広い読者に配慮下平易な文章と豊富な図解(写真)により、専門書としてはもちろんのこと、日々参照したくなる実用書として期待されています。

《目次》

1 ヨガ、ヨガセラピーとヨガの身体心理学とは
2 筋骨格と神経に及ぼす影響
3 メンタルヘルスに及ぼす影響
4 生活習慣病に及ぼす影響
5 心臓血管系に及ぼす影響
6 がんに及ぼす影響
7 子供、青少年、高齢者など特定の年齢層
8 未来への期待

《著者》

Sat Bir Khalsa 医学博士
ハーバードメディカルスクール助教授、国際ヨガセラピスト会議議長

Lorenzo Cohen 医学博士
テキサス大学MDアンダーソン癌センター教授、ヨガと乳がんの大規模研究を進行中

Timothy McCall 医学博士
内科専門医、アーユルヴェーダ医、Yoga as Medicine 著者、Yoga Journal 医療編集者

Shirley TELLES博士
パタンジャリ研究財団ダイレクター

(文責:岡部朋子)

ヨガセラピストの本棚:心臓が危ない(長山雅俊先生)

2017年02月15日

「心臓病」と聞くと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか?恐らく、重篤で深刻なイメージではないでしょうか。

日本人の死因の1位は癌ですが、次いで心臓病が2位となっています。心臓病が癌と圧倒的に異なる点は、ひとたび発作を起こせば一刻を争う重大な病ということです。
もし、私たちの大切な家族や友人が心臓病で倒れたら・・・。もし、自分の心臓がおかしいと感じたら・・・。
医学の専門的な知識は簡単に得られるものではなく、医療従事者でもない限り普通の人がその時に適切な判断や行動と取ることは、容易ではありません。

誰かの為、自分の為に、心臓病について知ることが必要になった時には、是非ともこちらの本をお勧めします。
榊原記念病院の長山雅俊先生が書かれました「心臓が危ない」です。
心臓の役割や構造などの基礎知識から、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈などの疾病に関しても、誰でも理解できるようにわかりやすく説明してくださっています。

そして本書の最後のほうに進みますと、「心臓リハビリテーション」のことについて書かれています。
「心臓リハビリテーション」とはどんなものなのでしょう。

心臓外科の世界的権威である榊原什先生が発案された、患者さんに対して急性期医療後から社会復帰までを長い目でバックアップする方法であり、榊原記念病院では25年以上の歴史を誇ります。
具体的には医師の監視のもと運動療法をしたり、心臓病の講義を受けて自分の病気についての知識を身に付けたり、カウンセリングで生活習慣を見直したり、不安を吐きだして抑うつから解放されたり、患者さんが社会生活に戻られるまでのケア、そして再発のリスクを減らすケアとなります。

実はこの心臓病、予後の不安が大変大きいことが特徴であり、またいつあの発作に襲われるかと思うと体を動かすことはもとより、日常生活すらままならなくなるのが一般的なのです。
患者さんの不安を取り除き、これくらいなら動いても平気だという経験を積み重ね自信に変えていくには、救急設備が整った場所で医師の監視のもと、少しづつ身体を慣らしていける環境があるということは、心臓病患者さんにとってどれだけ心強いかわかりません。

実はこの「心臓リハビリテーション」(以下、心リハ)、アメリカやスウェーデンでは運動療法にヨガも取り入れられています。心リハではその患者さんの運動最大能力の40%~60%の強度で行うことが適切だと定められています。ちなみにヨガでは心地よいと感じる程度というのが目安になります。そしてヨガでは深い呼吸が自律神経に働きかけ、心拍数や血圧の安定を促し、さらには自己洞察力やセルフコントロール能力も養われ、自分で自分の体を守れるという自信につながっていきます。心臓病の講座を受け自分の体に何が起こっていたのかを学んだ方であれば尚更、ヨガの学びを合わせることでさらに再発のリスクを減らすことができるでしょう。実は心リハを継続されている心臓病患者さんは、健康で運動をしない人よりも、かなり長生きできるという報告もあります。
現代医療とリハビリを合わせることで、こんなに素晴らしい結果が得られるのです。

しかし日本の現状では、医学の発展に伴い、重症例は減り入院期間も短くなった今、「救命」=「治療の終了」という図式が「心臓リハビリテーションの普及」を妨げているという現実があるというのです。
長山先生はこう嘆いてらっしゃいます。
「今の医学があまりにも専門化してしまい、患者さんの気持ちや本当に必要としていることに気付きにくくなっている。」

日本での更なる心臓リハビリテーションの普及と、そこにヨガプログラムも仲間入りしている未来を願って止みません。

ヨガセラピストの本棚 「フランス式「うつ」「ストレス」完全撃退法」

2017年01月12日

<フランス式「うつ」「ストレス」完全撃退法>

社会問題として深刻化する「ストレス」。
増加傾向にある「うつ病」「不安症」。
フランスは、うつ病患者が最も多い国であり、
その数はなんと日本の12倍だそうです。

フランスの精神科医、ダヴィド・S・シュレベールは、この本の冒頭で
「女性の患者が目の前で泣きだせば、間違いなく、抗うつ剤の処方箋をもらうことになる」と、書いています。
「医者の処方は、まるで条件反射のように一般化している。」と。
このような光景が、日本の医療現場にも多く見られるということは、
医療に携わる方、もしくは通院歴のある方は、良くご存知かと思います。

医学は1940年代に抗生剤の出現によって大きな変化を遂げました。
それまで致命的だった病気を克服できるようになったのです。
めざましい医療の発展のおかげで、私たちの平均寿命、健康寿命が延びたのは、紛れもない事実です。
がしかし、薬を飲むことで病気を治せるようになったその瞬間、医学の実践において、それまで重要視されていた、医者と患者の関係、栄養、患者の姿勢など…これらが疎かにされ始めたのも事実でしょう。

薬さえ飲んでいれば、うつ病は治るのでしょうか。不安神経症の苦しみから逃れられるのでしょうか。
残念ながら、抗うつ剤は抗生物質ほどの効果は出せていないようです。人の心は、薬でどうにかなるものではないのです。
それでも抗うつ剤を投与する医療現場が減らないのは何故でしょう。医療も市場原理で動いているのですから仕方のないことかもしれません。

では、増え続ける「うつ病」「不安症」を患った人々は、薬を飲む他に一体どのようなことをすれば、その症状を少しでも改善させることができるのでしょう。ずばりその様々な方法が、この本には書かれています。
・心臓脳システム
・心臓のコヒーレンシー
・眼球運動
・光のエネルギー
・鍼術
・オメガ3 などなど
人間の生理機能に対するアプローチで、斬新なものから、古く言い伝えられてきたものまで様々な方法が紹介されています。

そして、これら以外にも、こんなに単純なものも記されています。
・運動
・愛情
・感情のコミュニケーション
・周りを変えるのではなく自分が変わる
・他者との絆
・スキンシップ
・ペットを飼う。植物の世話をする。
・ボランティアをする
・瞑想と呼吸 などなど
これまで、科学的根拠のなかった「病は気から」とも言える、数値に置き換えることのできないような例が
様々な研究や動物実験などと共に紹介されています。

シュルベール氏は、本書の中で
サンフランシスコ大学の精神科医の言葉を借りて、こう言い切ります。
「”人間関係”は、どんな薬や外科手術にも劣らない現実的で決定的な治療法である」
そしてさらに深く掘り下げるのです。
非暴力、感謝の気持ち、他者との繋がりについて。
ヨガをしている方ならば、これらが深くヨガと関わりのある内容であることは
すでにお解りだと思います。

西洋医学の世界に身を置きつつも、自ら31歳で脳腫瘍を患い、克服と再発を繰り返した経験を持つシュルベール医師。
医師としての知識と癌患者としての経験が、このような視点を生み出したのかもしれません。
事務的に行われる投薬や外科的処置だけではなく、もっと基本的な事、人と人の繋がりを大切にする医療の在り方を模索すべき時代に差し掛かっているのではないでしょうか。

ヨガの要素が、未来の医療現場に役立つであろうこと、そしてヨガセラピー普及への道を作るセラピスト達の背中を押してくれることになるであろう、自信につながる必読の一冊です。

(石井及子)

ヨガセラピストの本棚「愛着障害」

2016年12月4日

大阪の岡田クリニック院長岡田尊司先生の「愛着障害」のご紹介です。

子供の頃から親との関係が100%うまくいき、自分のイメージを100%形作れている人でない限り、どんな人も親の愛情への寂しさ、物足りなさを感じ、多かれ少なかれ愛着障害はあるのではないでしょうか。

人は他者に受け入れられるということがうまくいかなければ、自分を受け入れるということにもつまずくかもしれません。自分を許せない限り、人や社会のことも許せない、と感じるかもしれないのです。

ヨガセラピストの方々で、相談に来られる方の悩みの本質はもしかしたら子供時代に得られなかったものにあるかもしれません。しかしそれを解決するのがセラピストの役割ではありません。過去は解決できないからです。岡田氏の言葉を引用します。

補助的と思われる部分が本当は中心で、中心と思われている部分が補助的な働きをしているに過ぎないということが多々有る。補助的と思われている愛着障害の部分に手当てがされれば、他の部分も変化を受け入れる準備が整い、働きかけが有効になることも考えられる。大事な部分が手当てされていないと、拒絶しか起こらない。

ヨガに出会うことでこの愛着の問題を解決していけるひとが少なくないのは、ヨガの根底に流れる哲学が、自分を許し、ひとを許し、ひとを受け入れ、自分と向き合い、善悪の判断をせず、今目の前にあることに感謝をする、という気づきを促すプロセスだからではないでしょうか。

ヨガやリストラティブヨガで自分の内面に目を向けることで、自分が愛して欲しかった自分の親の役割を担うことができ、安全基地になれるかもしれないのだと思います。
ヨガセラピーに来られる方で「私は自分を/自分の親を許せなかった」「今は現実を受け入れ、許そうと思う」「許せないことも多いけど、ヨガの時間で冷静になり自分を見つめることで、自分がいかに許されてきたのかということに気がついた」とおっしゃる方が少なくありません。

一番近い存在である親や配偶者、子供に私たちがいかに一方的な期待や先入観(ヨガではサンスカーラという概念です)を抱き、それと現実のギャップに失望し苦しむか。ヨガでは私たちが先入観を持ちすぎていることにまず気づくことから始まります。

ヨガセラピストの役割は、本人が自分の中に安全基地を作る過程をそっと見守り支援してあげることです。

ぜひご一読をお勧めします。

ヨガセラピストの本棚

IATY 認定 C-IAYT 代表理事 岡部 朋子が、これまでヨガセラピーを学ぶにあたり読みこんできた書籍をご紹介します。今後、これらの推奨書籍をもとに勉強会を開催していく予定です。

ヨガセラピストの本棚『痛みを癒すヨーガ』

2016年10月18日

IATY 認定 C-IAYT 代表理事 岡部 朋子が、これまでヨガセラピーを学ぶにあたり読みこんできた書籍をご紹介します。今後、これらの推奨書籍をもとに勉強会を開催していく予定です。

 
『スタンフォードの自分を変える教室』 で有名なケリー・マクゴニガル博士は、当協会と協力関係にある国際ヨガセラピスト協会(IAYT)の協会誌 Yoga Therapy Today のチーフエディターをしていました。
本書の中にある「心は体の中にある」に始まるたくさんのエッセンスから、ヨガセラピーを実践・提供していくにあたってのヒントを得てほしいと思っています。
なお、本書には『Yoga as Medicine (メディカルヨガ)バベルプレス』 のティモシー・マッコール医師が序文を寄せられています。

本書を監修された駒野宏人先生はご自身もヨガの指導を行いながら、岩手医科大学において神経科学講座の教授をされています。
岩手医科大学 駒野宏人先生 神経科学講座

写真入りの実践編、シークエンス、そしてリラクゼーション、瞑想法の説明がとてもわかりやすいので、ヨガセラピー提供の心強い手引きとしてご活用いただけることでしょう。
ヨガセラピーの提供のみならず、自分や家族の人生と痛みについて考えるきっかけをも与えてくれた本でした。
ぜひご一読をお勧めいたします。