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呼吸を自覚することの難しさ《愛誠病院 精神科女子閉鎖病棟でのヨガ》

2017年12月16日

ヨガってなに?
参加者約50名のほとんどが統合失調症である女子閉鎖病棟でのヨガは、動きを真似することからの始まりでした。

「吸って〜吐いて〜」「呼吸を感じて」
スタジオのヨガクラスでは当たり前のように行われている呼吸への意識。
愛誠病院の病棟クラスでは、それは当たり前の事ではありませんでした。
意識が外へ向きがちで、息の浅い患者さんには、自分の呼吸を感じる事が難しいのです。

15分というクラスでありながらも、当初は集中力が続かない患者さんに、いかに興味を持ってもらうかが課題。
試行錯誤を繰り返し、イメージしやすいようにポーズの名前や動きを工夫したりしました。
意識を何かに定められるように音楽、香りなども用いながら、ヨガセラピストの動きを真似するだけでも良し、見ているだけでも良しのクラスです。

次にどうやって呼吸を自覚してもらうか。
常に口が開いている状態の方が多く、鼻呼吸は難易度が高いため、声を出しながら息を吐く練習や、胸部に手を当て呼吸による身体の動きを感じでもらうなど、幾つもの方法を試みました。

少しづつ動きと呼吸を紐付けながら、焦らずゆっくりと、月日をかけて何度も何度も繰り返すことで、ひとつずつ出来ることが増えていきました。

週一回のヨガが病棟に導入されて一年が経つ頃から、目を閉じれる人が現れ、呼吸や感覚を自覚している様子が徐々にみえてきました。
ヨガセラピストが毎回毎回「呼吸」という言葉を繰り返していたため、患者さんからは「ヨガは呼吸だよね。」という言葉が出てきました。
喧騒から静寂が生まれる瞬間もあります。
自分の呼吸への感覚が不明瞭な方、意識が外に向きがちな方も、周囲の穏やかな雰囲気に影響を受け、静けさの中に身を置けるようになりました。

患者さんの状態は個人差が大きく、日々変動するため、ヨガクラスも安定している日、不安定な日とあります。
しかしながら、導入されてから三年近くが経った今、患者さん達の中でヨガは当たり前のものになってきています。
ヨガクラス以外の日も、心の安定のために自らヨガを日常に活かす方も出てきました。

動きに合わせ息の音が聞こえてきたり、合掌をしてご自身の内側を感じていたり、静けさの中で呼吸が身体を通して伝わってくる姿など、細やかなことですがこの病棟クラスでは大きな変化です。

そこには息の流れがあり、皆が心穏やかである瞬間が確かにあると思います。

(文責:愛誠病院ヨガチーム 高野裕子)

 

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